小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

51 硫黄島 忘れてはならない歴史

きょうは12月10日だ。2日前は、20年8月に敗戦を迎え、国民の310万人が犠牲になった太平洋戦争の開戦日(1941年)だった。

昨日、きょうと戦争のドラマと映画を見た。いずれも硫黄島で散った私たちの父やおじたちの話である。前者はフジテレビで、後者は映画館で。

太平洋戦争の末期に硫黄島を巡る日米の激闘があった。それは以前のブログに書いた通りだ。栗林中将以下の日本の硫黄島守備隊は、日本本土への米軍の空襲を避けようと奮戦し、大半の兵士が戦死する。

テレビ「戦場の郵便配達」は、当時の米大統領ルーズベルトに遺書の形で手紙を書いた海軍少将・市丸利之助を主人公とするドラマである。市丸は、栗林の指揮下に入り、栗林とともに、最後の突撃を敢行し、戦死する。市丸の 「フランクリン ルーズベルト君に致す。我今我が戦いを終るに当り、一言貴下に告ぐる所あらんとす」と書いた手紙は有名だ。

市丸と教え子で、硫黄島に米軍の攻撃の中、郵便物を運ぶ戦闘機パイロットの物語であり、実在の遺族を登場させたドラマは、涙なしには見られなかった。

映画は、クリント・イーストウッドが監督した硫黄島2部作で、日本側からの視点で描いた「硫黄島からの手紙」。渡辺謙が栗林中将を演じた。品がある。

ただ、若い世代はこの映画を見てどのような感想を抱くだろうか。何ゆえに日米が戦わねばならなかったのか。この映画を見る限り分からない。

ドラマと映画を見て、平和の大事さを痛感した。若い世代にこう感じてもらえば栗林司令官以下、硫黄島に眠る多くの先人たちも少しは心穏やかになるのではないか。