小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

31 パソコン相談の功罪

パソコンの無線LANがおかしくなった。インターネットやメールをしていて、つながらないことが最近急に多くなったのだ。そこで、プロバイダーの「お客様サービスセンター」に電話をしてみた。その結果はどうなったか。以下はその顛末である。

パソコンだけでなく、大多数の製品の問い合わせに対し、サービス対応の電話はなかなか通じないのが常態化している。それだけ、利用者からの問い合わせが多いということなのだろう。

特にパソコンに関しての問い合わせの電話はいくら待っても通じないのが常識になっている。パソコンという「魔法なようなシステム」は、これだけ普及している半面、不具合が生じると、それを直すのはけっこう難儀する。

そこで、サービスセンターへの電話になるのだ。我慢して待った結果、プロバイダーの電話は通じた。そして、相手は丁寧に教えてくれた。指示通りに設定の確認ができた。

その結果「無線LANのアダプターのプログラムがインストールしていないための現象です」と言われた。無線LANのためには、パソコンに無線LANカードが必要で、それが内蔵されていないパソコンには、無線LANのアダプターをセットしなければならない。

もちろん、私のパソコンにはプロバイダーから届いたアダプターがあり、パソコンにセットされていた。これまでモデムの近くにパソコンを置いていた。しかし、事情があって、パソコンはモデムのある部屋の隣に移動した。これからインターネットのつながりが悪くなったのだ。

そして、プロバイダーの指示に従い、アダプターのメーカーのサービス窓口に電話した。プロバイダーから聞いた通りの必要事項をいうと、相手は私がパソコンの知識はあると思ったのか、てきぱきと指示をしてくれた。

その通りに、アダプターの小さなスイッチを爪楊枝で動かし、パソコンに入れ直すと、プログラムのインストールが始まった。その報告をすると、サービス担当の男性は「もうつながりますので」というので、私は電話を切った。しかし、インターネットはつながらない。

考えてみた。そうだ。プロバイダーのサービス担当がいうとおりに控えた重要な設定項目を思い出した。この項目を入れ、無線LANの設定をし直した。すると、安定してインターネットが通じるようになった。

アダプターメーカーの担当の説明は不十分ではあったが、何とかインターネットもメールも普通にできるようになったので、これでいいと思った。

ところが、翌朝、パソコンのスイッチを入れて起動させようとしたが、容易に起動しないのだ。無理に電源を落として何度も試みた。それでもうまくは行かない。

起動までに10分以上かかるのだ。無線LANのプログラムが影響していることは間違いないと思い、このプログラムを削除した。が、駄目だった。

サービス担当者の言葉を反芻してみた。そうだ。アダプターのスイッチを爪楊枝で動かしたはずだ。あれを戻せばどうか。食卓から爪楊枝を取り出し、アダプターの小さなスイッチを元に戻した。

結果は思った通り、起動はいままでどおり早くなった。あとは簡単だ。スイッチを動かして、プログラムをインストールし直し、その後でまたスイッチを戻す。

約半日要した作業は、ようやく終わった。いま私のパソコンは以前のように全く問題なく動いている。アダプターメーカーのサービス担当者が電話を切る前に「スイッチは元に戻してください」と一言言ってくれれば、こんなに苦労することはなかったはずだ。

不特定多数の、大部分がパソコン音痴を相手にしているのだから、対応が雑になるのはやむを得ないのかもしれない。だが、もう少し丁寧に説明をしてほしいというのが実感だ。

私は、この経験を経て、だいぶ忍耐強くなったものだと思う。それにしても、パソコンという「魔法のようなシステム」は奥があって、面白い。