小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

21 魅力ある地方都市、その代表は札幌

かつて、仕事の関係で札幌に2回転勤し、合わせて3年半の単身赴任生活を送ったことがある。

札幌への転勤が決まると、同僚の羨望の的になった。その理由は、札幌に住んですぐに分かった。自然・街は美しくて、人々も付き合いやすい。食べ物もうまい。

冬だって、温泉があるし、スキーを楽しめば、雪も苦痛ではない。そして、札幌勤務を経験した同僚たちは例外なく「札幌・北海道ファン」になった。

このように人気の高い札幌で「2回も勤務するのはずるい」という声さえあった。そうした声を背に、札幌生活を堪能した後は「札幌・北海道ファン」の一人になっている。(駒大苫小牧の甲子園大会連覇には驚き、喜んだ)

東京のコンサルタント会社のアンケート調査で、札幌が全国の779市の中で魅力度が1位になったという新聞記事を見て、同感だと思った。

ベスト10までは、北海道の市はさらに函館(3位)、富良野(6位)、小樽(7位)と3市が入っている。それだけに北海道は魅力があるということなのだろう。(このほか旭川が18位、登別が20位)

転勤で数年暮らした旭川の生活が忘れられず、定年退職後旭川に家を建て、東京から移り住んだ友人がいる。豪雪にも耐え、北海道に定着し、自然を満喫している。

しかし、地方都市がすべていいというわけではあるまい。

映画「幸福の黄色いハンカチ」で知られる夕張市は、深刻な赤字財政のため、財政再建団体になっている。

県庁ぐるみの裏金問題の岐阜、弟が談合の元締めとして逮捕され、その責任を取ってやめた福島県知事と、なんともやり切れない恥をさらした地域もある。

  

このように、地方の中にもいろいろと窮屈になっているところもある。地域によっては、厳しい自然との闘いも覚悟しなければならない。

とはいえ、やはり地方には魅力がいっぱいだ。北海道に引き寄せられた別の友人は、年数回の北海道撮影のカメラの旅に出る。それが彼のライフワークなのだという。

秋から冬にかけて、街路樹・ナナカマドの赤い実が目に付く。その風景がいまも心に残っている。次の旅は北海道にしようと思う。