小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

76 濡れ衣 迷犬hanaのつぶやき

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 私にとって、迷惑なことがありました。そのためについ、お父さんとママに文句を言ってしまいました。

  つい先日の夜のことです。リビングの一角にあるゴミ箱のゴミがあふれ、近くに少し散らばっていました。隣の和室で何かをしていたお父さんが戻ってきて、ママに言いました。「おーい、hanaがいたずらをしたぞ。ゴミ箱のゴミが散らばっているよ」。

  そこには、ティッシュやチラシの丸まったものがありました。でも私は何もやっていません。たまには、いたずらをしたくなりますが、そんなことをしたらママが悲しみますので、できるだけ我慢するようにしています。

  なのに、お父さんときたら、私がいたずらをしたと思い込み、ママにまで伝えたのです。ふだん、私はあまり吠えることはしません。なぜかといえば、この家の末っ子の人間と思っているからです。

  でも、お父さんの早合点につい、腹が立ちました。それでつい、「ウー!ワー」とうなり、お父さんをにらみました。次に台所にいるママの所まで行き、「ゥワン!」と訴えたのです。

  それに気がついたママは「あれは私が投げたゴミなの。hanaは何もしていないのよ」と言ってくれました。そしたら、お父さんは「エー」と言い、私を呼んで「ごめんね」と謝ってくれました。

  それで私の気持ちは落ち着きました。でも、濡れ衣は嫌だと思います。濡れ衣という言葉はどんな意味かといいますと、無実の罪を着せられるということだそうです。

  そんなわけで、この数日は、お父さんもママも優しくしてくれます。そのためについ甘えてしまい、散歩の途中、私の好きに道草をさせてくれないと、そこに座って足を踏ん張って休もうとします。お父さんもママも困り果て、いろいろ研究をしているようです。

  だから、そろそろわがままをやめようと思っているのです。

 (お父さんとママの感想。本当に驚きました。ふだんはおとなしいhanaが反応し、うなったうえに吠えたのです。たぶん、私たちの言葉が分かるのだと思います。hana君、本当にごめんな)