小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1332 七福神に安寧祈る ペンの強さに陰り

画像シャルリー・エブドというフランス・パリの風刺週刊紙の本社に銃を持った3人の男が乱入し、12人が銃で殺された。イスラム過激派の犯行とみられるが、未解決の朝日新聞阪神支局事件を思い出した。「ペンは剣よりも強い」といわれる。しかし、昨今はペンの強さに陰りが見え出していることに、危惧を覚える。 フランスでこんな事件が起きる数時間前、私はのんびりと東京・柴又を歩いていた。正月行事である七福神巡りとして、ことしは柴又周辺を選んだからだ。カナダ、オーストラリア、そしてフランスとイスラム過激派によるテロが続いている。人に幸福を与えてくれる七福神巡りをした直後の事件だけに、余計に宗教とは何かを考えさせられた。 昨年の正月は埼玉県川越を歩いた。七福神詣では福をもたらすといわれる7つの社寺を巡拝することであり、私が巡った柴又の場合は、7つともお寺だった。 1、観蔵寺(寿老人)→2、題教寺(毘沙門天)→3、真勝院(弁財天)→4、良観寺(寶袋尊)→5、万福寺(福禄寿)→6、宝生院(大黒天)→7、医王寺(恵比寿) このうち2の題教寺は、柴又帝釈天で知られ、参拝の人も他の寺に比べ圧倒的に多かった。渥美清主演の映画『男はつらいよ』シリーズは、柴又が舞台で、当然、帝釈天も何度も出てくる。渥美清が亡くなったのは1996年8月4日のことで、ことしで19年になる。昨年は高倉健菅原文太という昭和を代表する俳優がこの世を去ったが、渥美は2人に勝るとも劣らない名優だった。渥美とともに『男はつらいよ』を覚えている人は少なくないだろう。柴又には「寅さん記念館」と監督の「山田洋次ミュージアム」があり、しかも京成柴又駅前には寅さんの銅像まであるのだから、この町を訪れる人の多くは、寅さんファンなのかもしれない。 寅さんは映画の中で、なかなかいいセリフを吐いた。たとえば、露店で様々な物を売る際の口上で「天に軌道があるごとく、人はそれぞれ自分の運命というものを持っております……。」と話し始めて「とかく羊の女は角に立たすなというが、もしそんなこと言っているんだとしたら、貴女方娘さん一生お嫁に行けない、な、そうだろう」と結んだりする。 ここで昨今の世相を寅さんの口上を借りて表現してみると、こんな感じになった。 「天に軌道があるごとく、人はそれぞれ自分の運命というものを持っております。とかく気合いだけの政治家はうわべはいいが、中身はない。『この道しかない』なんてばかり言っていたら、あなた、化けの皮がはがれますよ、な、そうだろう」 時の鐘に惹かれて 小江戸川越の七福神めぐり 写真 1、柴又七福神めぐりの朱印色紙 2、京成柴又駅前広場の寅さん像 3、観蔵寺(寿老人) 4、題教寺(毘沙門天)=帝釈天 5、真勝院(弁財天) 6、良観寺(寶袋尊)の地蔵群 7、万福寺(福禄寿) 8、宝生院(大黒天) 9、医王寺(恵比寿)
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