小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1227 機械とシステムが進化しても 大惨事に思うこと

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乗客乗員239人を乗せたマレーシア航空機が行方不明のまま40日以上が過ぎた。発見の手掛かりがないまま、このニュースも途絶えがちだが、韓国では16日、全羅南道珍島近くで旅客船「セウォル」号が沈没、現在までの情報では修学旅行のソウル市内の高校生ら33人が死亡、269人の安否が不明(179人が救助され、修学旅行引率者の教頭が自殺した)という痛ましい事故が発生した。救助活動は難航しており、世界中の人々が息を詰める思いでニュースを見ているのではないか。 マレーシア航空機が行方不明になる直前と直後に、たまたま同じマレーシア航空機を利用したことがある。それだけに機体がどこに消えたのか、気掛かりだ。現在のところ事件なのか事故なのかも分からない。この世には運、不運があるとはいえ、消えた飛行機に乗った人たちは突然、日常を奪われてしまったことに無念だったに違いない。 韓国の旅客船沈没のニュースをみていて、なぜあのような大型船が沈没事故を起こしたのかと、疑問に思うことが多い。専門家や識者といわれる人たちが、様々な私見を述べている。これから事故原因の究明が続けられるだろうから予断はできないが、飛行機にしても船舶にしても、人間がつくったものには、完全はあり得ないということを考えてしまう。 これに関連して、失敗学の提唱者である工学者の畑村洋太郎氏の分析に同じ思いを抱いた。畑村氏は物理学者で随筆家・寺田寅彦著「天災と国防」(講談社学術文庫)の解説の中で、次のように書いている。 「機械やシステムは人間の努力によって日々進化し、どんどん安全に使えるようになっている。しかし、安全になったがゆえに高まる危険もあり、それが大きな事故やトラブルの原因になる。(中略)人間にとって便利になった分だけ、注意力が下がり、「機械やシステムがやってくれるはず」と信じているから、従来は考えられなかった、信じられないほど大きな事故やトラブルが生じる」 その通りだと思う。設備やシステムの進化は著しい。しかし、鳴り物入りで導入した飛行機がトラブルを多発したのはつい最近のことだ。今度のマレーシア航空機と韓国の旅客船の事象(事故か事件か原因が不明であるため、こう記す)がどのようにして発生したかは現在のところ分からない。いずれにしても畑村氏が指摘するように、人間のおごりが大きなトラブルを起こすことを忘れてはならないと思う。 いつもの散歩道。調整池の背後にある森の緑は深くなっている。こうした目に優しい美しい自然に接することの喜びを感じながら、歩いた。しばらくして、私のように穏やかな気持ちで現在を送っている人間がいる半面で、心穏やかではない人たちもこの地球上には少なくないことを考え、足が止まった。 写真 1、緑が濃くなった調整池の森 2、小学校のとんがり屋根の赤色が目立つ 3、近くの広場の花壇では菜の花が満開だ
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