小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1064 大リーグで成功した3人の1人 記録と記憶に残る松井が引退

画像日本球界から大リーグに移って、成功した選手はそう多くはない。日本人初の大リーガーである村上雅則もいるが、成功した3人を挙げれば野茂英雄イチロー松井秀喜だろうか。ヤンキースに残った黒田博樹や1年目うまく行ったダルビッシュ有も成功組に入るかもしれない。しかし松坂大輔のようにけがのために志半ばで挫折したケースもあり、辛口解説の張本勲さんの真似をすれば「全盛期が過ぎた日本人選手が行く場所ではない」。

きょう、引退を表明した松井秀喜は、その意味で全盛期に米国に渡って力を発揮し、記録と記憶に残る活躍をした出色の日本人大リーガーだった。

今夜のNHK夜7時のニュースのトップは「松井が引退」だった。そればかりか、けさの民放は松井引退の記者会見を流し続けていた。松井の人気を物語る扱いだった。新聞夕刊には「王、長嶋と並ぶスターだった」という見出しもあった。人柄のよさが会見でもにじみ出ていて、寂しくなるなあという印象を持った。イチローについては嫌いだという知人も多いが、松井の悪口は聞いたことがなく、活躍した後のまじめなコメントを来年も楽しみたいと思った。

手元に「プロ野球英雄伝説」(講談社文庫)という本がある。ノンフィクション作家の戸部良也が2002年10月に出版した。彼が43年にわたって取材したという球界に名を残した川上哲治長嶋茂雄王貞治という大選手、名選手52人のことを書いている。しかし、この中に松井だけでなく金田正一野村克也米田哲也落合博満森祇晶らも出ていない。戸部がこの人たちを取材したことがないからだそうだ。もし、戸部が金田、野村、落合、松井らを取材していれば、もっと内容のある本になっていたはずだ。それが残念でならない。

松井については、日本球界への復帰を求める動きもあったそうだ。しかし、彼は「巨人時代の4番打者としての姿に戻る自信はない」と、復帰を断った。それは野球人生で頂点を極めた松井の矜持なのだろうか。昔から日本には「散り際の美学」という言葉がある。松井はその美学を貫いた一人なのかもしれない。「引退という言葉を使いたくない」という松井の気持ちはよく分かる。

松井は38歳。大多数が社会の中核として活躍している世代だ。20年の野球人生が終えても松井の人生はこれからであり、燃え尽きることなく、新しい道を切り開いてほしいと思う。(松井引退は27日のサンケイスポーツの特ダネだそうだ。どんな背景があるのだろう)

以下、松井・スポーツに関するブログ

http://hanako61.at.webry.info/200609/article_10.html

http://hanako61.at.webry.info/200612/article_10.html

http://hanako61.at.webry.info/200903/article_13.html

http://hanako61.at.webry.info/200911/article_5.html

http://hanako61.at.webry.info/201203/article_6.html

http://hanako61.at.webry.info/200803/article_8.html

http://hanako61.at.webry.info/201005/article_2.html