小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

859 山岳鉄道に乗って 北欧じゃがいも紀行・4

画像 懐かしい歌の部類に入るが、「高原列車は行く」という曲がある。「汽車の窓から ハンケチ振れば 牧場の乙女が 花束投げる 明るい青空 白樺林 山越え谷越え はるばるとララ…… 高原列車は ララ…… 行くよ」という詩がついている。1954年(昭和29)のヒット曲だ。ノルウェーのフロム線という山岳鉄道に乗った。車窓から見える景色は、この歌の雰囲気通りだった。 1923年に着工後、1040年には運行が始まる。トンネルが20カ所あり、このうち18カ所は手作業で掘ったというから、人間の力は偉大だと痛感する。以前、スイス・アルプスのユングフラウ鉄道に乗ったことがある。海抜3454メートルのユウグフラウヨッホ駅に降りたら、気圧の変化で一時的な高山病になり、頭が痛くなったことがある。今回は、それほど標高はないので体調は問題ない。 フロム線はソグネフィヨルドの沿岸にあるフロムからベルゲン線の標高865メートルのミュルダル駅までの全長20・2キロと、そう長くはない。景観は、牛たちがいる牧場や糸のように流れ落ちる無数の滝、谷間を流れる清冽な川と、次々に変化していく。フロム鉄道の全長は日本の黒部峡谷鉄道(いわゆるトロッコ電車、宇奈月~﨔平間、20・1キロ、標高差375メートル)とほぼ一緒で、速度もゆっくりしている。しかも、途中の「ショースの滝」(海抜630メートル、滝の全長93メートル)で、写真撮影のため5分以上も停車したのだからサービス精神もある。画像 真夏の観光シーズンには、青いドレスを身につけ妖精に扮した若い女性が滝のそばでソプラノの歌声を響かせるアトラクションもあるが、既にこれは終わっていた。ショース滝で電車が止まると、乗客たち(観光客)が一斉に滝に向かい、それぞれが記念写真撮影する。元気いっぱいの中国人たちが一番いい場所を占領していて、なかなか順番がこなかった。 フロム線に乗って驚いたのは、車内に電光掲示型の案内表示があり、ノルウェー語、英語に加え日本語でも要所の説明文が出てくることだ。北欧と日本は遠いが、日本人観光客は、この国にとっても、いいお客さんなのだと思う。画像世界の車窓から」という1986年から続いているテレビ朝日系の長寿番組がある。この番組を見ていると、列車の旅をしてみたくなる。北欧の旅では、ミュルダル駅でフロム線からベンゲル鉄道に乗り換えボス駅まで行った。この後、オスロノルウェー)―ストックホルムスウェーデン)間の6時間の国際列車に乗ったので、旅情は十分に味わうことができた。国際列車は空いていたが、一車両の半分の席は進行方向と反対になっていて、落ち着かなかった。画像 旅の間中、東日本大震災の被災地のことが頭に浮かんでいた。インターネットで民主党の野田内閣になって、経済産業大臣になった人物が不用意発言で国会開幕前に辞任したというニュースを見た。政治に期待はできないと思いつつ、少しはましな内閣なのだろうかと、考えたのは浅はかだったようだ。この日の昼食にもジャガイモ料理が出た。ジャガイモの味はよく分からなかった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 今回のジャガイモ料理は・・・
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