小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

789 夢であってほしいのに・・・被害拡大の地震

こんなことは現実ではなく夢であってほしいと思う。岩手、宮城、福島を中心に東北、北海道、関東各地域が巨大地震と大津波で壊滅状態になっている。縁の深い地域が自然の脅威にさらされ、多くの人が犠牲になった。安否不明の人たちも増える一方だ。かつて会った人たちの顔が浮かぶ。無事でいてほしい。

地震発生の夜、東京・港区の勤務先のビルに仮泊した。寝袋に入り横になったものの大きな揺れを思い出して眠ることができないまま5時前に寝袋を出て朝6時前に家路についた。3つの地下鉄と私鉄を乗り継ぎ、3時間半かけてやっとわが家に帰ることができた。

地下鉄、私鉄ともふだんならがらがらの時間帯のはずだ。しかし、地下鉄から私鉄に乗り換える駅のホームは乗客であふれていた。私と同様、ほとんどが下りの電車に乗る人だ。たまたま入ってきた上りに飛び乗り、次の駅まで行って、がらがらのホームから下り電車に乗った。次の駅から超満員の状態になり、乗れない人たちも少なくなかった。ほとんどが前夜、自宅に帰ることができなかった人たちのようで、みんな疲れが顔に浮かんでいる。

テレビには津波が襲来した時の映像が映し出されている。炉心が溶融したという福島第1原発のニュースも見続けた。この原発がどうなるのか家族みんなが不安だった。夜になって、菅首相と枝野官房長官が会見した。いまこそ、政治の役割が重要なのだと思う。

人生の前半部分を東北で暮らした。壊滅状態と報道された地域は私にとって大事な思い出の街だ。その街が津波によって消え去ったように原型をとどめない姿になってしまった。宮城県南三陸町で町の人口(今年1月現在、1万7393人)の半分以上の1万人と連絡が取れないというニュースも飛び込んできた。間違いであってほしいと思う。多数の人々が一刻も早く救助されることを祈るのみだ。