583 人工池に氷が 朝の光の中で
地球温暖化といわれているが、この季節ともなると、さすがに早朝は寒い。朝の散歩コースにある調整池にも氷が張るようになった。
このところの冷え込みで、人工池は3分の2近くが氷で覆われている。白い息を吐きながら歩いていると、池の遠くが急に明るくなり、太陽が顔を出し始める。携帯電話をポケットから取り出して、カメラモードにしてシャッターを切ったのがこの写真である。
山村募鳥は「朝」という詩を2篇書いている。その1篇にこんなくだりがある。
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わたしはみた わたしはみた
そこに すばらしい大きな日を
からりとはれた
すべてがちからにみちみちた
あたらしい一日のはじめを
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さらに「一日のはじめに於て」という詩でも、こう記している。
みろ 太陽はいま世界のはてから上るところだ
此の朝霧の街と家家 此の朝あけの鋭い光線
まず木木の梢のてっぺんからして
新鮮な意識をあたへる
みずみずしい空よ
からすがなき すずめがなき
ひとびとはかつきりと目覚め おきいで
そして言う お早う お早うと
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朝の太陽は元気がいい。さえぎる雲もなく、東の空を赤く染め、次第に調整池の水面を照らし出す。池の周辺には小さな雑木林がある。暗くて寒々とした森も光が差し込み、次第に明るさを増す。それが私には木々たちが目覚め、ゆっくりと活動を開始したかのように見える。
子どものころ、1月になると大地は凍てついていた。池にも田んぼにも氷が張り、その上で滑って遊んだ。薄い氷が張った人工池を見ながら、そんな時代を懐かしく思った。そして、朝の太陽に新しい力をもらったようで、すがすがしい気持ちになった。
いま、日本社会は閉塞感に覆われ、すこぶる暗い。新卒予定の大学生の就職内定率も最悪だ。打開策に追われる人が大半だろう。
だが、このような日の出に出会い、太陽に向かって「お早う」と呼びかければ、沈鬱な気分は吹き飛ぶはずだ。