小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

118 焼き物の町笠間を歩く のんびりさが魅力

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日本には「焼き物の町」がかなりある。日本人の食器の中心は陶器である。日常使う焼き物だけでなく、芸術といわれる範疇(カテゴリー)に入る焼き物も昔からつくられている。茨城県笠間市。「笠間稲荷」で知られる地方都市だ。ここは笠間焼という焼き物の産地でもある。 益子焼九谷焼、有田焼などに比べると、マイナーに位置するといったら、怒られるかもしれないが、ここでつくられる焼き物は素朴で味わいがあって、決してマイナーではない。もちろん、芸術の域に達した作品を創作する陶芸家も多数住んでいる。いわば、陶芸に新しい息吹を吹き込む町といえるだろう。 ▼笠間市のHPより、笠間市の案内=笠間市は、茨城県の中央部に位置し、首都圏から約100Km、県都水戸市に隣接し、総面積は、240.25Km2(旧笠間市131.61km2、旧友部町58.71km2、旧岩間町49.93km2)となります。 区域は、東西約20km、南北約25kmで構成され、北部は栃木県、西部は桜川市に、東部は水戸市茨城町、南部は石岡市小美玉市に隣接しています。地勢は、新市の北西部に八溝山系が穏やかに連なる丘陵地帯で、南西部には愛宕山が位置し、北西部から東南部にかけ、概ね平坦な台地が広がり、本地域の中央を涸沼川が北西部から東部にかけ貫流しています。気候は、夏は気温も湿度も高く、冬は乾燥した晴天の日が多い、太平洋型の気候となっています。 陶炎祭という陶器市が毎年ゴールデンウイーク中にこの町で開かれる。ことしで26回目となる、茨城県でも有数のイベントだそうだ。偶然、この陶器市に出かけ、以来連休の恒例行事として、毎年出かけている。既に20回以上は数えているはずだ。年々買い物客が多くなり、陶炎祭は名物行事の一つになっているようだ。 この祭の魅力は、多くの焼き物の店が並び、しかもふだんより安くいい作品が店頭に並ぶことだ。当初は狭い場所で開かれていた祭も、いまでは「芸術の森公園のイベント広場」が会場になっていて収容能力も大きく、地元はもちろん東京や神奈川、千葉、埼玉など関東近県からかなりの買い物客が集まる。関東以外の客ももちろんいる。 この焼き物市のある店で家人はやや大きめの皿を買った。すぐに持ち帰れると思ったら、店側が「うちの看板作品なので、祭が終わるまで店頭に飾りたい。祭が終わったら宅配便で送ります」というので、住所と名前を言って代金を払った。 別行動をしていた私はその経緯を聞いて、「領収書か受け取りをもらったか」と聞くと、「そんなものはもらわなくとも大丈夫」だと家人。連休が終われば送られてくるはずだが、焼物市のやりとりはこのように、のんびりしたものなのだ。
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帰りに笠間稲荷の藤棚をのぞいた。2種類の藤の花が盛りを迎えていた。笠間稲荷前の土産店は「仲見世」と称する。しかし、どの店も同じ土産物しかなく、中に入る客はほとんどいない。店番のおばさんたちも、客がいようがいまいがお構いなしといった感じでのんびり店番をしている。せちがらさがないのがいい。笠間の魅力は、こののんびりさにあるのだ。
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