81 父と子の奮闘 映画「幸せのちから」
かつて、父と子の楽しくもあり、苦しい生活もありを描いたアメリカの映画「クレーマー・クレーマー」が大ヒットした。アメリカ社会の現実を描いたから、共感を呼んだのだろう。
「幸せのちから」も同様の映画だ。それもアメリカンドリームを体現した男と子供の物語である。主演はウィル・スミス。息子役には実の子供が出演した。それだけに、日常の父と子の動きはリアルだ。
妻からも去られただめな父親が、息子と自分のために奮闘して、一流の証券会社に就職するストーリーだ。金はいつしか21ドルしかなくなってしまう。無給の研修生時代を医療機器を売ったり、ただの施設に泊まって、何とか生き抜く。
実話を基にした映画だそうだ。苦しくても、才能があって頑張れば報われるということを言いたいのだろう。
映画を観て考えた。はたしていまの日本でこのようなことはありうるのだろうかと。たぶんに、アメリカに比べると、その確率は低いはずだ。それでもまれにはあるだろう。それがなければつまらない。
人生は一度しかないのに、豊かに送ることができる人がいると思えば、逆に貧困なまま一生を送る人もいる。それは努力だけの問題ではないように思える。
だが、努力をしなければ、報われないのも確かなことだ。幸せになるのは、たやすいことでないのだ。