小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

60 団塊の世代へ 生き方の見極めを

  ことしは団塊の世代が大量に定年になる。日本の高度経済成長を支えたこの世代は、多くの企業でこれまで中心的な役割を果してきた。

 定年後は、ゆっくりと体を休め、これまでできなかったことを思い切り楽しんでほしいと思う。だが、現実はそう簡単ではない。定年後は、退職金と年金でささやかな老後を送ろうと思っていたのに、年金は制度改革で段階的に支給年齢が繰り下げになり、満額支給はかなり先になってしまう。

  こうした事情により、多くの企業は、法律で定められた高齢化社会への3つの対応策のどれかを受け入れた。定年制の撤廃、定年延長、継続雇用の3つである。この中で、最も多いの継続雇用と思われる。

  企業にとって、一度退職した後、現役時代の4分の1か3分の1の待遇で、仕事のすべてを知り尽くしている人材を再雇用できるのだから、こんなうまい話はない。そして、現役を離れた団塊の世代の多くはこの継続雇用の枠組みに入って第2の人生を送ることになるのだろうか。

  現役時代から、しっかりした定年後の計画を考えていた人は、新たな道を歩んで行くはずだ。ことしは、団塊世代のさまざまな人生模様が展開されるだろう。彼ら、彼女らの今後の生き方もまた、大きな注目を集めるに違いない。団塊世代は、時代が変わってもいつもスポットライトを浴びる宿命を持っているのである。