小径を行く 

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。(筆者=石井克則・遊歩)

2025-01-01から1ヶ月間の記事一覧

2695 光の春へ…… 陽光まぶしい季節

大雪に見舞われている地域の人たちには申し訳ないと思うほど、散歩をしていて陽光がまぶしいと感じる。「光の春」という言葉通り、このところ太陽の光が日々強くなっている。この言葉は、2月初めになると気象予報士たちが天気予報の解説で使うことが多い。…

2694 ブログ移行のお知らせ

☆ブログ『小径を行く』の読者の皆様へ これまで利用していたブログサービスは、スマホ用で広告が多く、見にくいとの声が数多く寄せられました。広告自体もひどい内容が目につくため広告のないこのブログサービス「JUGEM」に切り替えました。以後『小径を行く…

2693「青二才」の爽やかさ  生きることは悲しみと華やぎ

年々にわが悲しみは深くしていよよ華やぐ命なりけり 作家で歌人(画家岡本太郎の母親)岡本かの子(1889~1939)の歌(『歌日記』より)だ。だれでもがそうだろうが、年をとるほどに悲しみは深まる。日々の動きをテレビのニュースや新聞の記事で読みながら、…

2692 氷が厚く張っていても 「春隣」の季節に

「春隣」(はるどなり)という冬の季語がある。「春がすぐそこまで来ていること」という意味だ。立春(今年は2月3日)まであと1週間。とはいえ、北海道や日本海側の地域では春はまだまだ遠い。一方、私が住む関東南部の今日は寒さが緩み、近所で梅の花が…

2691 天才の陰に名指導者あり イチローの殿堂入り

遅ればせながら、イチローが日本に続いてアメリカ野球の殿堂入りが決まったことを書いてみる。日本では実質7年間しかプレーしなかったため、日本の殿堂入りについての賛成は 92・6%(有効投票349票のうち323票を獲得)で26人がイチローに投票し…

2690 トランプ現象は偉大な過去への郷愁 駄々っ子諭す主教

駄々っ子を諭す先生……。21日、ワシントン大聖堂で大統領就任記念行事として行われた礼拝。バッデ主教(女性)は、耳の痛い言葉でトランプ米大統領を戒めた。このニュースをテレビで見ていた私は、トランプ氏の顔からして彼がへそを曲げるに違いないと思っ…

2689 森の木と人間は同じ 吟遊詩人と現代詩人が語る比喩

まことに、木々の葉の世のさまこそ、人間の姿と変わらぬ、 木々の葉を時に、風が来って地に散り敷くが、他力ではまた 森の木々は繁り栄えて葉を生じ、春の季節が循って来る。 それと同じく人の世系(よすじ)も、かつは生い出で、かつはまた滅んでゆくもの。…

2688「くちびるに歌を」持とう 厳寒の中のマリンバコンサート

「くちびるに歌を」という言葉が好きだ。いつのころからか、逆境に立たされてもこの言葉を思い出し、勇気を奮い起した。18日夜、知人が主催した音楽会に行き、あらためてこの言葉の意味をかみしめた。飯能市のホテルで開かれたマリンバを中心とする演奏会…

2687 孤高の横綱との別れ 照ノ富士が引退

「横綱になったとたんに、私はやめることを考えました。大関だったら、もし陥落したとしても、努力次第でまた上がることができる。でも、横綱というものは、その使命を果たせなかったら、相撲をやめるしかない」。こう語ったのは、大相撲で白鵬に次ぐ32回…

2686 眠れぬ夜に聴いた歌 『早春賦』と『寒い朝』

夜中に目が冴えてしまい、眠れぬままラジオを聴いてみた。終夜やっているというNHKの「ラジオ深夜便」という番組で、懐かしい音楽を流していた。タンゴで知られる「アルフレッド・ハウゼオーケストラ」と往年の人気コーラスグループ「マヒナスターズ」の特集…

2685 厳冬のウルフムーン 美しい朝の月の詩(うた)

今朝2025年初めての満月を見た ラジオ体操の帰り道の西の空 上空が青でその下がピンク さらにその下は青い色が広がっている 真中のピンクの中に浮き出ている丸く明るい月 厳冬の季節のウルフムーン(狼月)だ 空腹を抱えたオオカミの遠吠えが満月にはよ…

2684 アメリカは何でもありの国へ 『大統領の陰謀』とトランプ氏

アメリカで共和党のニクソン大統領(第37代)を辞任に追い込んだのは、若い記者、カール・バーンスタインとボブ・ウッドワードの2人を中心とする首都の地方紙・ワシントン・ポストの報道だった。それがアメリカ世論の共感を得て、ニクソン政権は崩壊した…

2683 身近に及ぶ犯罪被害 横行する「浅はか」な思考

「凶悪事件の再発を防ぐのに一番効果があるのは、犯人を早く逮捕することだ」。若い頃事件記者をやっていた時代、取材した捜査幹部はみんなこう語っていた。それは今の時代も変わりはない。闇バイトという裏の社会に引きずり込まれた若者を中心とした強盗事…

2682 ばかげた話が絶えない世界 でも「明日は明日の風が」

新しい年を迎えても、ばかげた話が絶えない。ニュースを見ていて、つい「ふざけるな」とか「そんなバカな」という言葉が口から出てしまうことが多すぎる。体に悪いのは言うまでもない。どうして、世界はこうなってしまったのだろうか。AIという技術が発達し…

2681 戦災・震災に残ったピアノ 芥川の短編とウクライナ

ロシアが軍事侵攻を続けるウクライナからピアノにまるわるニュースが報じられ、時折目にする。中でも、一時占拠された首都キーウ近郊のブチャで見つかった破損したピアノが修理され公園で演奏会が開かれた話、ミサイル攻撃で破壊されたコンスタンチノフカの…

2680 斜面に広がる水仙畑 房総半島・鋸南を歩く

スイセンのことを日本では「陰の花」(江戸時代の華道に関する伝書『『生花七種伝』)というそうだ。花には「陽の花、中庸の花、陰の花」という3つの区別があり、陽は赤やオレンジ、黄色といった暖色系あるいは大輪で華やかで香りが強い花を指し、バラやユ…

2679 禍(わざわい)を転じて マティスは法律から絵の世界へ

(沖縄県うるま市勝連城から見た風景) 私の部屋のカレンダーの1月は、フランスのアンリ・マティス(1869~1954)の絵《ザクロのある静物》だ。独特の雰囲気があり、雑然とした私の部屋でも違和感がない作品だ。マティスといえば、青年時代は法律学校で学び…