小径を行く 

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。(筆者=石井克則・遊歩)

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

2394 常識は曇りない目で 国民を甘く見た2人の政治家人事

昨夜は満月と重なった中秋の名月だった。昔から人は月を見ながら「豊年万作」を祈った。現代人はそれよりも、この3年半、人類を苦しめたコロナ禍が消えることを願ったかもしれない。私もその一人だった。そんな願いとは別の動きのニュースを知って、さらに「…

2393「風よ教えて」世界の未来を ボブ・ディランに聞きたい

この夏ほど「風よ吹け」と思ったことはない。もちろん、暴風や台風ではない。暑さを和らげるここちよい風だ。しかし、太陽が照り付けると、日陰のない場所は風は熱風となる。慌てて日陰に逃げ込むと、汗が少しだけ止まる。そんな時、口ずさむのはボブ・ディ…

2392 「 物は言いよう」の横審委員長 前途多難な角界

昔から「物は言いよう」という。同じ事でも話し方によって、良くも悪くも受け取られる。言い方が悪いと角が立つから、言葉の使い方は難しい。それを今朝の新聞を読んでいて気が付いた。日曜日に終わった大相撲秋場所で、大関貴景勝が11勝4敗で4回目の優…

2391 遠い京都からみちのくへ 秋風吹く白河の関の謎

秋はさわやかで旅の季節だ。コロナ禍で遠出を控えていた人たちも、この秋こそはと旅の計画を立てているかもしれない。交通網が発達し、便利な時代。私はある和歌を思い出す度に昔の旅は大変だったろうと想像する。しかし、この和歌は実際には旅をせずに詠っ…

2390 この道にヒガンバナ 初秋の静寂慈しみつつ

「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」。よく知られた夏目漱石の『草枕』の書き出しだ。私の散歩コースの一つに、山林を残した自然公園がある。時々、この公園の坂…

2389 総合力に欠ける現代日本 日ハム優勝の歴史とともに

(これが北海道だ。富良野から見た十勝岳) 私がこのブログを始めたのは2006年9月だった。今年で17年になった。これまでよく続いたと思う。私はこのブログで、好きなスポーツのことも書いている。それを読み返してみると、今年パリーグで昨年に続き最…

2388 猛暑の糸瓜忌 格言通りの季節の移行?

(四方木不動滝=よもぎふどうたき・千葉県鴨川市) 朝夕は涼しくなっていいはずなのに、朝の散歩ではまだ汗をかく。今日も各地で最高気温が30度を超えている。それにしてもこの夏は暑かった。「猛暑」「酷暑」と呼ぶことが普通になるほど、日本列島は異常…

2387 君は大谷を見たか インブリー事件を越えて

(美しい夕陽。明日も好天か) 「君はあの大谷を見たか」。後世、こんな言葉が聞かれるようになるかもしれない。大リーグ、エンゼルスの大谷翔平が今シーズンの残りは試合に出ないことが17日(日本時間)、球団から発表になった。WBC以来、投手と打者の「…

2386 危機遺産免れたベネチア 噴出する観光公害

(静かな駅風景。JR草津線甲賀駅ホーム) 私は多くの人が訪れる有名観光地には行こうと思わない。最近、よく聞かれる「観光公害=オーバーツーリズム」を及ぼす側の一人になるかもしれないし、そうした場面に遭遇するのが嫌だからだ。行政の無策がこんな結果…

2385 「きぼう」を見た夜 神々しい宇宙ステーション

宮沢賢治の『星めぐりの歌』は「あかいめだまの さそり/広げた鷲の つばさ/あをいめだまの 小犬、/ひかりのへびの とぐろ。/オリオンは高く うたひ/つゆとしもとを おとす、」という詞だ。14日夜7時過ぎ、上空を飛ぶ「国際宇宙ステーション(ISS)きぼう=…

2384 日常化した自然の脅威 北アフリカ襲った大災害

モロッコの大地震に続き、リビアで大洪水が発生し、大きな被害が出ている。地図を見ると、大西洋に面し対岸にはスペインがあるモロッコ、その東側にアルジェリアを挟んで地中海に面したリビア、ともに北アフリカの国だ。10年前、民主化運動「アラブの春」…

2383 相次ぐ新聞の夕刊休刊 スマホ時代の活字離れ

北海道新聞と長野県の地方紙、信濃毎日新聞が相次いで9月限りで夕刊の発行を休刊すると発表した。「あの道新と信毎が!」と驚きながら、その記事を読んだ。夕刊の購読者が激減したのが理由だ。毎日新聞はことし3月末で岐阜、愛知、三重3県の夕刊をやめて…

2382 内閣改造という宣伝報道 忘れ去られる大臣たち

新聞の一面には政治記事が大きなスペースを飾ることが多い。政治は、国民生活を左右する重要な報道対象だからだろう。それを扱うのが各報道機関とも政治部という部署で、現在の政治記者たちの最大の関心事は13日の内閣改造と自民党の役員人事のようだ。そ…

2381 オーバーキルの地球へ『I Believe』を聴きながら

いつか聞こえるだろう/戦争がなくなって ひとつになった世界に/子どもたちの 笑い声が イギリスのメゾソプラノ歌手、キャサリン・ジェンキンス(1980~)の『I Believe』(私は信じている)という歌は、こんなふうに始まる。この歌は、2009年に発売…

2380 公共放送の役割とは ジャニーズ問題とBBC・NHK

(画像をクリックすると大きく見えます) 大手芸能事務所、ジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川氏による所属タレント(すべて男性)への性虐待問題が社会的な注目を集めている。昨7日には、ジャニーズ事務所の記者会見があり、社長交代など事務所側の…

2379 百日紅の珍種咲く 不気味なAI時代

(サルスベリの「ペパーミントレース」) 9月になっても猛暑が続いている。水が足りないため、しおれ気味な草花も目立つ。花が咲く樹木で唯一気を吐いているのは、サルスベリだ。花期の長いこの花は、9月に入っても散歩をする私たちを楽しませてくれている…

2378 無視され続ける沖縄の民意 老荘思想の戒め

「秋田のひとの反対でイージス・アショアの計画は止まり、東京のひとたちは秋田のひとに頭を下げた。ここから辺野古に基地を移すと東京にいるひとたちは話している。沖縄のひとたちが、何度やめてと頼んでも、青い海に今日も土砂がいれられる。これが差別で…

2377 作られた名言 「天災は忘れた頃に来る」

「天災は忘れた頃に来る」(天災は忘れた頃にやって来る)は、物理学者で文筆家の寺田寅彦(1878~1935)の言葉として知られる。昨今は、地球環境の変化によって「天災は忘れないうちにやって来る」と言えるほどの状況とはいえ、この言葉を聞くと身…

2376 美しい9月の夜明け 回復した元球児

朝も秋ゆうべも秋の暑さ哉 江戸時代の松尾芭蕉より17、8歳年下の上島鬼貫という人の句です。もう朝も夕方も秋のはずなのに、何とも暑くてたまらない、という句です。今日から9月。とはいえこの句のように、今年の残暑はひと際厳しいですね。でも、少しだ…