
アメリカはどこに行くのだろうか。ジョージ・オーウェルの『一九八四年』の世界、あるいは独裁者率いる北朝鮮のような国か。2度目の大統領になったトランプ氏の日々の行動を見ていると、急速にアメリカが変わっていくことを実感する。今度は労働市場が悪化したという7月の雇用統計を発表した米労働省労働統計局(BLS)の局長を解任するよう指示した、局長は解任されたというのだ。自分の意に沿わない統計は信じないということらしいが、「殿、ご乱心ですぞ」と、止める側近者はいないのだろうか。
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報道によると、 米労働省が1日発表した7月の雇用統計は、景気動向を反映しやすい非農業部門の就業者数(季節調整済み)が前月比7万3千人増で、市場予想の11万人増を下回った。失業率は4・2%で、前月から0・1ポイント小幅に悪化した。雇用者数の伸びは前月と前々月合わせて26万人近く下方修正された。これまで3カ月の平均はわずか3万5000人の増加で、コロナ禍後の最悪を記録した。
この発表がトランプ氏には不満だったらしく、労働統計局(BLS)のエリカ・マッケンターファー局長を名指しして「「バイデン前大統領の政治任命者を即時解任するよう、チームに指示した。より有能で資格のある人物が後任になる。このような重要な数字は公正かつ正確でなければならない。政治的目的で操作されてはならない」とSNSに投稿した。バイデン政権時代に局長になったからといって、統計の数字を局長の判断で改ざんできるほど、この統計はいい加減なのだろうか。証拠も示さずに解任するという手法は、独裁国家そのものといっていい。
こうしたトランプ氏の政治手法を、当然ながらアメリカのメディアも批判的に報じている。だが、こうした報道に対し、トランプ氏側は訴訟を乱発して弾圧の姿勢を強め、ニューヨーク在住の元共同通信記者でジャーナリストの津山恵子さんは『メディア展望8月号』(新聞通信調査会)で「米メディア全体が政権に対する批判的報道を『自粛』するかもしれないという懸念が浮上している」と報告している。
かつてウォーターゲート事件の全貌を暴き、ニクソン大統領の辞任まで追い込んだワシントン・ポスト紙の報道から半世紀以上が過ぎ、アメリカのメディアは勇気と元気を失ってしまったように思えてならない。大げさかもしれないが、私には今のアメリカは西部劇時代の、無法者がはびこる時代へと逆行しているように見える。
新聞、通信、テレビはSNSに押され「オールドメディア」と呼ばれ、インターネットには反マスメディアの声があふれている。そうした罵詈雑言にひるまず、「暴君」と揶揄されるトランプ政治に立ち向かうことができるのだろうか。それは日本のマスメディアにも言えることで「御用新聞、御用テレビ」化は、自分たちの首を絞めることに他ならないと思うのだ。
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