小径を行く 

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。(筆者=石井克則・遊歩)

2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

2467 スポーツ界の汚れた裏面 天才の芽摘まれたワリエワ

ロシアの女子フィギュアスケート選手、カミラ・ワリエワは天才だと思っていた。テレビで見る演技は圧倒的に優れていた。だが、裏があった。2022年北京五輪の期間中にドーピング問題が発覚したことに対し、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は29日、21年12月25…

2466 ひとりカワセミを見る 心折れない思い

冬川の翡翠を見し一人かな 岡井省二 近くの公園を散歩していたら、池の端にある木の枝に2羽のカワセミ(翡翠)が止まっているのを見かけました。カワセミは俳句では夏の季語ですが、この公園で見かけるのは冬の方が多いのです。この池から流れる小川に沿っ…

2465 政治家はいろいろ(クズもいる) 世界で一番貧しい大統領の述懐

「政治家といっても色々で、クズみたいなやつもいるが、彼らは結局自分たちの所属政党のためにしか行動しない。歴史上も、このようにしてあまり評判の良くない指導者たちが現れた。(中略)そして政権を握り、すべてをめちゃくちゃにするのさ」。「世界で一…

2464 疎ましい思いと決別したい  満月の朝に

このところ寒い朝が続いているせいか、散歩に出るのがいつもより30分以上遅い時間になっている。それでも、朝の月がきれいなはずと思い、今朝は頑張って6時に家を出た。いつもの調整池を回るコース。西の空に丸い大きな月が浮かんでいた。今年に入っても…

2463 あなたの気に入った場所は? 詩人が描いた「港」と「郵便局」

人それぞれに好きな場所がある。自宅の居間や自分の部屋が一番という人もいるだろう。あなたはどこだろう。町の本屋、喫茶店、映画館、図書館、美術館、寺や神社、居酒屋、パチンコ屋、山や海? フランスの詩人シャルル・ボードレール(1821~1867)は「港」…

2462 墓標の丘の詩人の碑 戦争の悲話伝える『ひまわり』

ナポリの若者よ なぜ君はロシアの野に来た 故郷の海に飽きたのか モズドク(注)で 対峙した僕は 君の故郷を思った

2461 避難所に希望の書 高村光太郎の理想とは?

「書はあたり前と見えるのがよいと思ふ。無理と無駄との無いのがいいと思ふ。力が内にこもつてゐて騒がないのがいいと思ふ。悪筆は大抵余計な努力をしてゐる。そんなに力を入れないでいいのに、むやみにはねたり、のばしたり、ぐるぐる面倒なことをしたりす…

2460 またも「山のお産」! 自民党派閥の裏金事件捜査終結

「かつて、山が大きく揺れ動いたことがある。凄まじいうなり声が響き渡ったため、何が起きるのだろうと各地から多くの人が集まって来た。恐ろしい災害が起きるかもしれないと、不安な思いになりながら見守っていると、山から出てきたのは一匹のネズミ(ハツ…

2459 理不尽に摘まれた才能の芽 人間は戦争の大きさを越えている

(1922年に初めてリスボン~リオ・デ・ジャネイロ間を飛行したF400ルジタリアのレプリカ・リスボンにて) 戦争は様々な才能の芽を摘み、あるいは奪ってしまうことは多くの先人たちの例が示している。このブログでも、彫刻家の高橋英吉、詩人の大関松三郎、ゼ…

2458 初雪へ祈る被災地の復旧 中原中也の詩とともに

つい先日(13日)の夕方、私の住む地域で今冬の初雪が降った。久しぶりに遠出をして電車を降り、駅舎から出ると、ボタン雪が私に向かってまとわりつくように風に舞っていた。中原中也(詩集『秋』の「生い立ち」)流にいえば、「私の上に降る雪は 故郷の風…

2457 「戦争は絶対駄目」 蒲田「你好」40年、店主の思い

「皆さんにお伝いしたいことは、戦争は絶対にいけないことです。今、毎日悲惨な戦争のニュースが流れています。皆さんの周りには多くの友だちと言葉や文化が違う外国人がいます。友だちや家族と同じように、そんな外国人を温かく迎え、互いにたくさんのこと…

2456 「畑おじいさんよ」さらば 変わり行く風景

毎朝ラジオ体操をやっている広場近くの平屋の家が、最近取り壊しを始めた。たしか、高齢の夫妻が住んでいたはずだが、どうしたことだろうと、ラジオ体操仲間が驚いた顔をしている。10年ほど前に引っ越してきて、敷地の半分を畑にして野菜や果樹を作ってい…

2455 禁書運動広がる米国 分断社会の反映か

社会主義国や独裁国家は別にして、民主主義の国では「焚書」(ふんしょ)や「禁書」という言葉は死語になっているかと思っていたら、そうではないようだ。民主主義のリーダーを自認するアメリカでここ数年、性的少数者(LGBTQ)や人種問題などに関する書籍を…

2454 悪しき永遠の課題 終わらない政治とカネ問題

ブログを読み直していたら15年前、現在の自民党のパーティー券キックバック問題とも絡む、政治とカネの問題を取り上げていた。当時の民主党代表、小沢一郎氏の公設秘書が西松建設のOBが代表だった政治団体からから献金を受けた問題で東京地検特捜部に政治…

2453 芥川龍之介も「歌は力」 大震災後に聴いた少年の歌

能登半島地震の被災地では余震が続き、石川県では死者126人、安否不明222人(同県の7日午前の発表)と、被害は増え続けている。そんな中で6日夜には、珠洲市内の倒壊した住宅で地震発生から5日ぶりに93歳の女性が救出されたというニュースもあっ…

2452 不幸を幸福へ変える力を 能登半島地震と犀星

時々、地図を取り出し、新聞やテレビでニュースになった場所を見る。今年最初に見たのは、もちろん日本地図の石川、富山両県の頁だ。元日に大地震に見舞われた輪島半島は、細長く日本海に突き出ている。コロナ禍の時期も地図を広げて「空想の旅」を楽しんだ…

2451 美しい自然現象…… 地震と大事故後の辛い朝に

今朝、東の空に美しい朝焼けが出ていました。西に向かってラジオ体操をやっていましたら、後ろから「東の空がとてもきれいよ」という女性の声がしました。反対を向きますと、空が次第に赤く染まりつつあり、そのまま多くの人とは反対の姿勢で体操を続けまし…

2450 混沌から平穏な時代へと願う ピカソの作品とともに

新しい年が明けた。2024年。ことしはどんな年になるのだろうか。混沌とした陰鬱時代から「秩序への回帰・平穏な時代」へと、進路を変えることができるのだろうかと思う。部屋のカレンダーは、パブロ・ピカソ(1881~1973)が描いた『鏡を持つアルルカン』と…