9月になっても猛暑が続いている。そのため、このところたまに行っていた喫茶店もご無沙汰していた。久しぶりに顔を出したら、この店の常連である2人の大先輩がいた。話に夢中になっていて、私の存在など眼中にない様子だった。2人の話に耳を傾けていると、なかなか面白い内容だった。以下は2人の会話(名前は仮名でAさんとBさんとします。写真は元気なフヨウの花)。
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A 石破首相がようやくやめると発表したね。自民党の石破おろしに耐えに耐え、ここまで粘ってきたが、もう何も策がなくなった感じだね。トランプ関税を何とか15%でまとめたのが実績か。
B 功績とすれば、自分の言葉で話をしようとしたことでしょうか。それまでの首相は自分の言葉がなかったから。それにしても党内には敵ばかり、よく1年持ったと思いますよ。
A この夏の暑い盛りの自民党の動きを見ていたら、日本の政治の先は暗いと思わざるを得なかった。選挙で負けたのは自分たちのやってきたことに対する批判なのに、首相のせいにする。この先だれが後任に選ばれるのか知らないが、予想される顔ぶれは魅力がない人物ばかりだね。
B 日本丸の進路危うし!ということでしょうかね。でも、今の世界で目立つ独裁政治に比べたら、日本はまだましといえるかもしれませんよ。
A そういえば、以前読んだドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトの戯曲『ガリレイの生涯』(岩波文庫)にこんなやりとりがあったことを思い出したよ。相手は家政婦の子どもでイタリアの天文学者ガリレイに天文学を教えてもらっていたアンドレアだ。
アンドレア 英雄のいない国は不幸だ!
ガリレイ 英雄を必要とする国が不幸なんだ。
今の日本はどちらに当たるだろうか。私はガリレイの言葉の方が適切だと思うがどうだろう。
B 英雄的政治家は、現代社会では「劇場型」の人物と言えるでしょうね。そんな人物はまっぴらごめんですね。
A 石破氏の胸中を表す言葉があるよ。
「この世でなにが悲しいといって、自分がいろいろなことを知りながら、無力のためにそれをどうにもできぬことほど悲しいことはない」
これは前5世紀のギリシア・アテネの歴史家ヘロドレスがペルシア戦争を描いた『歴史』(同)という書物に出てくる言葉だが、どうです当たりでしょう。
B Aさんは歴史に詳しいですね。たしかにそう思います。
ところで、話は変わりますが、昨日の大リーグ、ドジャースの山本投手の投球をテレビで見ました。9回2アウトまで行き、あと一人でノーヒットノーランが完成というところで次の打者にホームランを打たれて交代となりましたね。私はあの交代は失敗だと思って見ていたら、案の定リリーフの2人が1つのアウトも取れずに3~4でサヨナラ負けしてしまいました。
A 野球は2アウトから、なんていう言葉があるそうだけれど、その通りになったね。それにしてもドジャースのロバーツ監督の指揮ぶりは、やはりおかしいね。過去3回も山本の勝利投手を消滅させたスコットをまたしても起用して、サヨナラ負けを演出してしまった。野球に素人の私でも首をかしげる戦法が多すぎるね。テレビで見ていて、気分が悪くなったよ。
B ドジャース丸の進路危うし!というところですか。
A 世の中、イライラすることが多いが、いちいち気にしていたら体に悪いよ。せめてこんな句を頭に描きながら、帰り道を歩こうと思う。無手勝流の仙人系の俳人といわれる雪我狂流(ゆきが・ふる)の一句だよ。
「幸福だこんな汗が出るなんて」
汗が出るのを前向きに捉えているね。どうです、いいでしょう。こんな感じで今日一日を送ることにしたいものだね。
B 同感です。
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