災害
仙台の友人がアマチュアオーケストラで、ベートーベン(ベートヴェンとも表記)の交響曲6番「田園」を演奏したという。この曲は多くの人が知っていて、かつては同名の名曲喫茶店もあった。そのポピュラー性が嫌われるのだろうか、クラシック専門家の評価はそ…
私が高橋英吉という彫刻家の名前を知ったのは、もう36年前のことになる。だが、その作品を見る機会がないまま長い歳月が過ぎてしまった。先日、東京藝大美術館に足を運び、そこで高橋の作品に初めて接した。海に生きる雄々しい漁夫をテーマにした代表作の…
熊本が大地震に見舞われ、苦境にある。被災者の方々にお見舞いを申し上げたい。いま私は日本地図を取り出し、後の方に出ている「熊本県全図」を見ている。県の全体図に細かい地名が載っている。旅をする前なら地図を見ることは楽しい。だが、被災地を地図で…
熊本で14日夜、最大震度7(激震、家屋の30%以上が倒れ、山崩れや地割れができる)という強い地震が発生し、多くの被害が出ている。気象庁が定めた震度階級のうち最も高い( 強い)震度であり、九州では初めてという。日本が地震国であることを再認識さ…
学問的には幽霊は研究外という。幽霊と聞くと、オカルトや霊性という言葉を思い浮かべる人も多いだろう。それは心が穏やかではない、背筋が凍る話である。しかし、東日本大震災後の被災地では幽霊現象が相次いだという。震災直後に回った宮城県でそのことが…
『原子力政策研究会100時間の極秘音源―メルトダウンへの道―』(新潮文庫)という題名からは、やや難解な原子力に関する本であることを想像させる。
桐野夏生の新刊『バラカ』(集英社)に描かれる日本は、悪い奴が跋扈している。大震災の前と後の日本社会。日本にきていた日系ブラジル人同士の両親から生まれ、「バラカ」と名付けられた女の子の数奇な運命を軸に物語は進行していく。そこに描かれる、悪い…
「罪ある人 裁きを受けるために 塵より蘇える日 それは涙の日」 『レクイエム』(死者のためのミサ曲)の第7曲「ラクリモサ」の第8小節でモーツァルトの筆は途絶えた。それから間もない1791年12月5日未明、かつて神童といわれた音楽家は35歳とい…
今月10日、北関東を流れる鬼怒川の堤防が茨城県常総市で決壊した。濁流に襲われて街が消える状況を映したテレビ画面は2011年の東日本大震災を想起するものだった。屋根に取り残された年配の夫婦と思われる2人がそれぞれ犬を抱えて、自衛隊のヘリによ…
ネパールでM7・8の大地震が発生し、多くの犠牲者が出ている。そのニュース映像を見ていて、あらためて自然の脅威を感じ、東日本大震災を思い出した人は少なくないだろう。 あの大震災から4年が過ぎている。 しかし、被災地の復興は道半ばであり、原発事故…
「福島の原発事故が日本という高度な技術水準を持つ国でもリスクがあり、事故は起きるのだということを如実に示した。私たちが現実に起こりうるとは思えないと考えていたリスクがあることが分かった」 「エネルギーの3分の1を原発が担っている。それが止まっ…
このごろの6時過ぎの時間は、まだ夜が明け切っていない。東の空には三日月が残っていて、散歩道を照らしてくれている。道の両側の土の部分には霜柱が立っている。小寒から大寒へと続く厳冬期である。 1月17日は、阪神淡路大震災から20年目の節目の日である。…
東日本大震災で、息子2人を亡くした仙台市宮城野区の父親が自力で観音像を建てたという話を友人がブログで紹介している。 「舟要観音(しゅうようかんのん)」という2人の名前が由来という観音像には、「2人の息子さんや同地区の300人余の犠牲者に対す…
東日本大震災から3年8カ月が過ぎた。東京電力福島第1原発事故で、避難した福島の人々の多くは依然として故郷に帰る見通しがつかないまま、むなしい日々を過ごしている。その中に全村避難となった飯舘村の人たちが含まれている。 日本のふるさとのような存在…
犬山城から見た木曽川と御嶽 噴火した御嶽は深田久弥の『日本百名山』の60番目に出てくる日本アルプスの中で「別格」の山である。NHKの報道によると、この噴火によって、登山中だった31人が心肺停止状態だという。けが人も多数出ており、火山国日本の…
「コールサック」という詩誌に、金沢在住の詩人、うおずみ千尋さん(69)が「盲目の日に」という連載エッセイを載せている。最新号の78号には「故郷の風景―3月11日に寄せて―」と題して、うおずみさんが故郷の福島県いわき市で送った少女時代の思い出…
乗客乗員239人を乗せたマレーシア航空機が行方不明のまま40日以上が過ぎた。発見の手掛かりがないまま、このニュースも途絶えがちだが、韓国では16日、全羅南道珍島近くで旅客船「セウォル」号が沈没、現在までの情報では修学旅行のソウル市内の高校…
「「降る雪が雨へと変わり、氷が解け出すころのこと。昔からこの季節は農耕の準備をはじめる目安」―きょう19日は24節気の「雨水」に当たる。立春が過ぎ、雨水、啓蟄を経て春分へと季節は向かっていく。 にほんブログ村
「春は名のみの風の寒さや…」という歌い出しの「早春賦」(吉丸一昌作詞、中田章作曲)を思い浮かべるような、立春の朝である。昨日とは一転して、天気は冬に戻ってしまった。にほんブログ村 ==== ソプラノ歌手・鮫島有美子の「四季」のCDには79曲の最初…
仙台在住のジャーナリスト・松舘忠樹さん(元NHK記者)は、東日本大震災後の2011年12月から被災地の復興の動きを「震災in仙台」と題し、ブログで書き続けている。地道に、丹念に取材したブログは被災地と被災者の姿を追った貴重な記録となっている。…
氷河が溶けて小さな湖が(ノルウェーにて) フィリピンを8日超大型台風30号「ヨランダ」(アジア名ハイエン))が直撃、死者は1万人を超えるという情報もある。被害が大きかったレイテ島は、東日本大震災の大津波を思い出させる惨状が広がっている。 折…
「2年半前、あまりの被害の大きさに私たちはたじろいだ。犠牲者の人数もけた違いだった。しかし、この豊かな日本社会だ。ほどなく人々の生活を立て直す力があるはずだ。誰もがそう信じたが、想いは裏切られた。被災地の人々は奥歯に何かがはさまったような…
石川と新潟の旅で私の旅人生に区切りをつけるつもりだった。だが、その直後に東日本大震災被災地への旅の話が舞い込んだ。そうして、訪ねたのが岩手県陸前高田市だった。あらためて書くまでもなく、陸前高田は大震災の津波で甚大な被害を受けた。にほんブロ…
6年ぶりに福島県飯舘(いいたて)村に行った。正確には飯舘村を通過して南相馬市に行ったと書くべきか。春爛漫の季節を迎えた飯舘は不気味な静けさだった。花が咲き、緑に包まれた村の姿は牧歌的だ。 原発事故さえなければ、いまごろはあちこちで田植え作業…
映画の「always3丁目の夕日」は、舞台設定が昭和30年代の東京・下町だった。日本が敗戦から立ち直り、復興へと歩み、経済の高度成長が始まる時代の貧しくても明るい人々が描かれている。これに対し、小泉武夫の「夕焼け小焼けで陽が昇る」(講談社…
東日本大震災によって死者1556人、行方不明217人(2月末の岩手県発表)と、岩手県で最大の被害が出た陸前高田市。高田の一本松の保存問題でも全国的に知られた街だ。最近、この街に住む親類(いとこ)と連絡がとれ、九死に一生を得たことを知った。 …
大げさに考えると、日本はこの巨大地震が起きたら国家が破たんし、沈没状態になってしまう―。日本の太平洋沿岸に延びる南海トラフでマグニチュード(M)9・1の地震が起きると、最悪で220兆3000億円という途方もない被害が出るという想定を国の有識…
朝、6時55分に目が覚め、これはいかんと慌てて身づくろいをして、犬たちと外へと飛び出した。初日の出を見るためだ。毎年、同じ場所で見ている。歩いて数分の橋の上だ。近づくと、多くの人が解散していた。早足で橋に行くと、太陽が昇りつつあった。 私の…
夕方、妻が1階から叫んでいる。「西の空がきれいよ」と。あわてて、2階からカメラを持って、外へ飛び出した。きょうは、大みそか。この1年、いろいろなことがあった。愛犬のhanaは大病し、緊急手術を受けた。ふだんなら、私も連れて行ってと追いすが…
東日本大震災の被災地は広範囲に及んでいる。しかも、原発事故に見舞われた福島の被災地では復興の道筋が容易に立たない。衆院選挙の公示日の4日から数日、被災地を歩いた。(ことしは9回目で昨年も同じく9回被災地を歩いているので、18回目だ) 5日の…