先日、鳥取大学構内の坂道で男子学生(下り坂)と女子学生(上り坂)が乗った自転車同士が衝突し、女子学生が意識不明の重体になる事故があった。だれもが、道を歩いて自転車とすれ違う際ひやりとすることが結構あるだろう。私も今朝、若者が自転車のハンドルから手を離して、しかも猛スピードで向かってくるのに出会い、思わず横に逃げた。若者は、知らぬ顔で通り過ぎたが、見ていて怖くなった。自分の運動神経に自信を持っているからゆえの無謀な乗り方なのだろう。
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「過信」という言葉がある。「価値・力量などを実際よりも高く考え、信頼しすぎること」(大修館書店・明鏡国語辞典)という意味だ。自分のことを過信している人が少なくない。そんな人をこれまで何度も見てきた。今朝の若者もその一人なのだろう。4月のブログでも、ハンドルから手を離して自転車に乗り、しかも右手にたばこを持ち左手に持ったスマホを見ながら走っている若者を見たことを書いた。過信~自信過剰~傍若無人状態の若者が絶えない。こんな若者は、事故を起こした際のことなど何も考えていないのかもしれない。想像力に欠けているのだ。
これを書いていて、「あの事故」も過信が原因だろうかと考えた。それは、このところ大きなニュースになっている沈没した悲劇の客船タイタニック号の探索ツアーの潜水艇、タイタンのことだ。海中で消息を絶ち、乗っていた5人全員が死亡したことが確実といわれている。ニュースを見ていると、タイタンについては「深海探査分野の関係者の多くが客を乗せるのは実験的すぎる。安全性を証明する必要があると運営会社に書簡で訴え、大きな懸念を抱いていた」(AFP)など、安全性に疑問があったことが報道されている。
タイタンはこれまでも何度も通信途絶などの事故があったそうだ。にもかかわらず起きた重大事故。開発・製造・運航のオーシャンゲート社は、そうした事故を経験しながら取り返しのつかない事故を招いてしまった。今度の犠牲者にはCEOが含まれているという。会社ぐるみの安全性に対する過信だったようだ。
過信の最たるものは、太平洋戦争を起こした旧日本軍といっていい。米国通だった山本五十六連合艦隊司令長官は「米国にはとても太刀打ちできない。最初に米国をたたき、優勢なままに和平に持ち込むべきだ」と考え、真珠湾攻撃を立案したことはよく知られている。しかし、軍部はこの後も神国日本が負けるはずはないと過信し、ずるずると戦線を拡大、敗戦への道をひた走る。そして沖縄は本土防衛の捨て石になり、住民の4人に1人が死ぬ悲劇の島へと追いやられたのだ。
今、世界では「過信」で生きる政治家が横行しているといっていい。その代表はロシアのプーチン氏だ。アメリカのトランプ氏もそうだし、彼以外でも頭に浮かぶ世界の指導者の顔は少なくない。岸田首相も昨今はその傾向が見え始めている、と言ったら言い過ぎだろうか?
自転車の無謀運転から、プーチン氏まで話は飛んだ。自由な発想こそがこのブログを書き続ける基本姿勢です。これからもお付き合いください。
(美しい彩雲)
☆彩雲とは 縁(ふち)などが美しく色づいた雲。日光が雲の水滴で回折するために生じるもので、主に高積雲に見られる。(広辞苑)