今、日本の新聞、テレビにその名前が一番多く載るのは、石破首相は別にしてアメリカのトランプ大統領ではないだろうか。新聞の一、二面はもとより国際面からオピニオン面、さらに社会面まで頁をめくるとこの人の活字が目に付く。短歌や川柳にも取り上げられている超有名人だ。後世の歴史に彼はどのように記されるのか、可能なら知りたいほどだ。ほぼ、見当はつくのだが……。
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現在、世界の国々はトランプ大統領による相互関税問題で頭を抱えている。同盟国の日本と韓国でも25%、トランプ氏と中のよかった前の大統領が汚職で追及されているブラジルには50%という高い関税の書簡を送って物議を醸している。そんなアメリカに対する付き合い方について、日本政府もかなり苦慮しているようだ。石破首相は参院選の選挙応援の演説で関税交渉について「国益をかけた戦い。なめられてたまるか。たとえ同盟国であっても正々堂々言わなければならない。守るべきものは守る」と語ったという。なかなか威勢がいいが、この姿勢を貫けることができるだろうか。
「アメリカの大統領は、伝統や象徴がないからあれだけ尊敬されるのだ。憲法や大統領が大事にされるのは、ほかに拠るべきものがないからだ」。短いこんな言葉で出口治明氏(元立命館アジア太平洋大学学長)は、アメリカの特徴を表した(『仕事に効く教養としての「世界史」』祥伝社文庫)。出口氏はこの本で、アメリカの歴史に触れた後「ヨーロッパの人はおだてて頑張ってもらうのが一番と思っている。あまり厳しく言うと、閉じこもって引きこもってしまい、それだと世界のためにならないから、ある程度おだて出しゃばらない程度に保安官をやってもらおう、それが一番いいと認識している」とも書いている。それが、以前のアメリカ=世界の警察という見方だった。
しかし、次第にアメリカは内向きとなり「アメリカファースト」を掲げるトランプ氏が登場。「トランプ大統領のような特異な性格の人が出てきたときには、さすがにヨーロッパの人も困っているようだ」(同書)と解説した。ただ、同氏は別の媒体で「トランプがやろうとしていることは世界経済にとって90%後ろ向き」「一部大衆はいま大喜びでも長く持つはずはない。いずれ大衆は飽きる」(東洋経済オンライン)と、いずれトランプ流政治に歯止めがかかるとの見方をしている。
冒頭に新聞の短歌、川柳にもトランプ氏に作品が載っていると書いた。例えば、パレスチナ・ガザで市民の命を奪い続けるイスラエルのネタニヤフ首相が、トランプ氏をノーベル平和賞に推薦したという醜悪で驚きのニュースに対し「あの人があの人を推す平和賞」(朝日7月9日朝刊。青森県 戸沢大二郎)という川柳が載っていた。以前、安倍元首相が同様の動きをしたことを思い出し、不快感が増した。
トランプ政治を見て童話『裸の王様』を思い起こす人は少なくないかもしれない。 トランプ氏にこの寓話を教える人はいないのだろうか。
「裸の王様」とは
高い地位にある人が、まわりからおだてられるだけで何の批判も受けることが無いために本当の自分の姿を見失っていることのたとえ。(何も着ていないのに、目に見えない服を着せられていると思い込んでいた王様)が、子供から「王様は裸だ」といわれてはじめて自分の本当の姿に気付くという、アンデルセンの童話から。
(三省堂『新明解国語辞典)
1755 まさか、まさかの時代 トランプ大統領ノーベル平和賞推薦
1824 国籍と政治性排除のはずが ノーベル賞お祝い報道に?
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