小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1383 夏の風景 すみからすみまで光に埋る花たち

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「夏のあかるさ すみからすみまで光に埋ってゐる そのなかに ひとつづつ彫られてゆく 小さい生きものの姿 うすい羽 誰が彫ってゐるかわからないが ひと鑿(のみ)づつそれがゆく」 室生犀星の「夏昼」(「星より来れる者」より)という詩である。散歩コースの調整池には様々な夏の花が咲いている。「すみからすみまで光に埋ってゐる」植物たちの姿は美しい。遠目には花の種類は分からないものもある。望遠レンズを使うと、それがムクゲ木槿)であり、フヨウ(芙蓉)であることが分かった。 ムクゲアオイ科フヨウ属)は韓国の国花で、1985年の日韓国交正常化20年の記念切手にもこの花が使われた。ことしは国交正常化50周年だが、両国の関係は冷え込んでいて、「明治日本の産業革命遺産 」登録をめぐってもめたのは周知の通りである。一方、フヨウも同じアオイ科フヨウ属である。この2つの花は、咲く時期や姿形がよく似ている。ムクゲは直立した樹形なのに対しフヨウは枝分かれして横にも枝が広がる。花や葉もフヨウの方がムクゲ大きいのが特徴だ。どちらの方が人気があるのだろう。 そのほか、調整池周辺にはマツヨイグサ(待宵草)やツユクサムラサキツメクサ(アアツメクサ)、ブタナ、ツルボも咲いている。夏は植物たちにとって、生命を輝かせる季節でもあるのだ。 このうちブタナは、フランスの俗名(ブタのサラダ)からとられた帰化植物で、タンポポによく似ているためタンポポモドキと呼ばれることもあるそうだ。どちらにしても、あまりいい名前ではない。 以前のブログでドクダミは天ぷらや茹でて食べることができることを紹介したが、ツルボも太平洋戦争当時の食糧難時代には救済植物として珍重されたという。ユリ科の植物だから球根があり、それを乾燥させ麦の粉とまぜて食べるのだそうだ。しかし現代ではこの植物を食べる地域はほぼ皆無なのではないかと思われる。
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写真 1、調整池から見た小学校の赤いとんがり屋根 2、白に赤い模様が入ったムクゲ 3、フヨウの赤い花 4、ツルボ 5、待宵草 6、ムラサキツメクサ 7、ブタナ 8、ツユクサ 待宵草が咲いている hanaの死から1年 どくだみの季節 意外においしい?梅雨の花