小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1357 日本政府の遅い対応 ネパール地震に思う

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ネパールでM7・8の大地震が発生し、多くの犠牲者が出ている。そのニュース映像を見ていて、あらためて自然の脅威を感じ、東日本大震災を思い出した人は少なくないだろう。 あの大震災から4年が過ぎている。しかし、被災地の復興は道半ばであり、原発事故の福島の再生は見通しがつかない。大地震に見舞われたネパールもこれから苦闘が続くのは間違いない。そんなネパールに対し各国が次々に支援の声を上げているにもかかわらず、日本政府の動きは伝わってこない。どうしたことだろう。 新聞の報道によれば、国際緊急援助隊約70人が現地に向かい、安倍首相はネパールのコイララ首相にお見舞いと支援の用意を伝えるメッセージ緊急を送ったという。それ以上のことは何も分からない。安倍首相は訪米中である。では、留守を預かる菅官房長官は何を語ったのか。 官邸のホームページによると、きょう27日の記者会見で菅氏は冒頭の発言はせず、記者の質問で会見は進んだ。質問に答えて、邦人の被害状況(1人が死亡、1人がけがをしている)や援助隊の派遣についてたんたんと答えているのみである。記者からの地震に関する質問は2回だけで、1、2分でこの関係は終わっている。政治記者にはこうした海外の災害はあまり興味がないらしい。 安倍首相は、就任以来海外各国に出かけ、その度に財政的支援を約束し続けている。それなのに今回、留守を預かる菅氏からネパールに対する支援や被災者を思いやる言葉は全くなかった。鈍感としか言いようがない。 ネパールに詳しい大学の先生は「ネパールは貧しい。できる限りの支援をお願いしたい」と、テレビのインタビューに答えていた。迅速な対応ができるかどうか、いま日本の力量が問われているといえる。 ネパールの地震のニュースを聞いて、もう一つ思ったことがある。仕事でネパールに行くことが多い友人から土産にもらったネパールコーヒーのことだ。その味はそれまでのものとはやや違っている。それを表現するのはむずかしいが、風味は独特で私は気に入った。 友人はネパールの事業家の知人がいる。事業家は貧しい女性たちの働き先としてコーヒー園を作り、それが軌道に乗ったのだという。今回の地震でこのコーヒー園や女性たちは無事だったのだろうか。無事であることを祈りたい。