小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1172 ユーモア精神あふれるものは?間投詞について

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イギリスでは、バンザイを意味する言葉として「hooray」という間投詞(感動して、不意に叫んだ言葉)があり、女王陛下万歳は「Hooay for the Queen!」ないし「Hurray for the Queen!」というそうだ。24日に千秋楽を迎えた大相撲九州場所14日目で大関稀勢の里が全勝の横綱白鵬に勝った際、福岡国際センターに詰めかけた観衆から「バンザイ」の声を上がった。ふがいなかった日本人力士がモンゴル出身の大横綱に勝ったことにファンの気持ちが盛り上がったのだろうが、白鵬の気持ちを考えると、複雑な心境になった。 以前、名古屋場所稀勢の里白鵬に勝った時は、座布団が乱れ飛んだ。九州場所では座布団対策として2枚の座布団を並べ、ひもでつないで投げることができないようにしているという。その代わりに観客はバンザイの声を上げたのだろう。白鵬はこれまで27回優勝し、昭和の大横綱双葉山の69に次ぐ63という連勝記録も持っている。その前は43まで伸ばしたが、2回とも稀勢の里が立ちはだかり、連勝記録の更新をストップさせた。白鵬にとって稀勢の里はまさに天敵といっていい。 白鵬は、八百長問題などで大揺れになった大相撲を支えてきた功労者だ。しかも、3月11日が誕生日であり、東日本大震災の被災地に対して様々な形で支援活動をしているという。そんな白鵬稀勢の里バンザイの声をどのような思いで聞いたのだろう。 同じプロスポーツの女子ゴルフで、横峯さくらと賞金王争いを続けている森田理香子が愛媛で開催されていた大会で優勝し、一度抜かれた横峯を抜き返した。15メートルというイーグルパットを入れるなど、賞金女王にかける森田の懸命さがテレビからも伝わってきた。テレビの解説は森田の師匠といわれる岡本綾子が担当していた。往年の大選手であり、解説も分かりやすいのだが、森田への応援の気持ちが強すぎたのか、森田がパットを打つと「入れ」という岡本の声がマイクから聞こえてきて興ざめしてしまった。岡本の「入れ」という言葉も願望を込めた一種の間投詞のようなものだったのかもしれない。 NHKのドラマで使われた「じぇじぇじぇ」という言葉がことし流行した。驚いたり、感動したりするときに発する「えっ!」という意味の岩手県久慈地方の方言だそうだ。これも間投詞といっていいが、バンザイや入れに比べると、ユーモアがある。それにしても、最近は「じぇじぇじぇ」という言葉を出したい動きが多すぎる。特定秘密保護法案・なれ合い修正協議、衆院選一票の格差をめぐる最高裁違憲状態判決、食品の表示偽装問題、猪瀬都知事徳洲会からの5000万円借用問題…等々、数え出したらきりがない。そのほとんどはユーモアとは無縁で、世知辛い現代社会を形成しているネガティブな事象である。 写真 自転車で柔道の朝稽古に向かう子どもたち