小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

7月のhanaのつぶやき 外房の海に入りました

画像私は今月の1日で10歳になりました。あの日のことはよく覚えています。家族のみんなが集まって、私のために誕生会をしてくれました。ケーキの格好をした豆腐に10本のろうそくを立てて、祝ってくれたのです。でも、私は早く豆腐ケーキを食べたくて、よだれが出そうでした。このケーキは私が一番好きなお姉さんが焼いて作ってくれたのです。 あのころは涼しかったのですが、急に暑くなりましたね。きょうは、お父さん、お母さんと一緒に外房の海に行ってきました。海に入ったのは久しぶりで、興奮しました。 私は、ゴールデンレトリーバーという種類で、本当は泳ぎが大好きなのです。そして海水はほてった体には気持ちよかったのです。でも、外房の海はけっこう波があって、お父さんと一緒に海に入っても、波にさらわれてしまうのではないかと心配になり、浜辺にいるお母さんの方を向いてしまうのです。 お母さんは私の名前(hana)を呼んで「楽しみなさい」と言うのですが、それがこちらに戻ってと言っているようで、お父さんを引っ張るようにして海から上がってしまいました。そんなことを何度も繰り返しました。海の空気を吸うと、なぜか元気になります。お父さんは「日に焼けてしまった」と、何度も言っていましたが、ふだんから色が黒いので、私からみたらそんなに目立たないのにとおかしくなりました。 海から家に帰る途中、車のなかで半分眠りながらお父さんとお母さんの話を聞いていたら、私と同じ犬のことが話題になっていました。お母さんが買って読んでいる「暮らしの手帖」という雑誌に聖路加国際病院の細谷亮太という小児科の先生が「犬との暮らし」という文章を2回続けて書いているというのです。 お父さんは、最近北海道の滝川という街の郊外にできた難病の子どもたちのキャンプ場に行ったそうです。このキャンプ場は、ホスピスで暮らしている難病の子どもたちを招待して、北海道の雄大な自然をたんのうしてもらい、病気との闘いから離れて、生きる喜びを味わってほしいと、細谷先生たちがいろいろな方面に呼び掛けてようやく完成した施設だそうです。 その細谷先生の文章は、お父さんの心に残るものだったそうです。だから、お父さんはこんなことを話していました。 「暮らしの手帖、58と59に2回に分けて細谷先生が書いた「犬との暮らし」は、子どものころから現在までの先生と犬とのかかわりを振り返っているんだね。犬への優しさと愛情が伝わるいい文章だと感心したよ。だから、細谷先生は小さい体で難病と闘う子どもたちのために全力を尽くしてキャンプ場まで作ってしまったのだよ。すごい人だね」 私は10歳を過ぎてから、体の衰えを感じる時があります。でも、いつも大事にしてくれている家族と暮らす日々は、とても幸せです。このごろは暑さが体に応えますが、来年のケーキを楽しみに、夏を乗り切りたいと思います。