小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

426 森田知事の誕生 都会と田舎が同居の千葉県

所用があり千葉県庁前を歩いていたら、テレビカメラや報道陣が集まっていた。いわずと知れた、新しい知事、森田健作氏の初登庁風景を取材しようとする一団だ。タレント知事は宮崎、大阪に次いで3人目だ。彼は、都会と田舎が同居する千葉の舵をうまく取ることができるのだろうか。

ある報告を読んで、やや心配になった。その報告によると、知事選告示後の候補者5人の合同演説会の政策に関し、森田新知事の話の内容は最も具体性に欠けたというのだ。「頑張りましょう。私は明るい、元気な日本一の千葉県にします」というような抽象論がほとんどで、風呂敷を広げた羽田・成田のリニアモーターカー構想の財源を聞かれると「夢を持つのは大事なこと」とかわすだけだったという。

さらに報告は続く。まさかと思うが、大事な演説会の途中で彼は所用といって退席したという。司会者が「これからお得意の教育問題ですからもう少し」ととどまるよう要請したのに対し「選挙民が待っていますから」と述べて、姿を消した。この演説会の聴衆は約200人。この人たちも選挙民のはずなのに、森田氏はそのことを認識していないようだった。

それでも森田氏は100万票を獲得して当選した。小沢一郎民主党代表の秘書が逮捕されて以来、自民党の逆風がやや変化しつつある。森田氏はその微妙な時流にうまく乗ったといえる。だが、人気のみで突っ走った彼が、難問が多い千葉号をうまく舵取りができるかどうかは全く未知数だ。

県庁わきには都川という小さな川がある。この畔は桜が満開だった。森田氏の出足は最高の日和だ。無党派を装いながら、自民党の東京の支部長をやめなかった森田氏は、当然、当選直後から自民党とのかかわりで指摘を受けた。この千葉県民を欺いた姿勢が彼の前途を危うくさせるのだ。