小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

407 政治とカネ 永遠の捜査課題

小沢一郎民主党代表の公設第一秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕された。政治とカネの話はうんざりだが、政治にはそれほどカネがかかり、あるいは政治家になるとカネが集まるということなのだろう。

昔、「井戸塀」という言葉があった。広辞苑には「政界に乗り出して私財を失い、井戸と塀しか残らないこと」という意味だと書いてある。逆にいえば、資産家でも私財を失うくらい政治にはカネがかかるということでもある。

経済界から政界に入った故藤山愛一郎氏あたりが最後の井戸塀代議士だったかもしれない。だが、いまの政治家にそんな人は見当たらない。大物政治家といわれる人たちは豪邸を高級住宅街に構えている。あるいは高級マンションを自宅にしている。歳費といわれる国会議員の給料は決まっており、それだけであれだけ羽振りのいい生活はできまい。

今回の小沢氏の問題は、東京地検特捜部と政界が戦後長く続けてきたせめぎあいの延長線上にある。造船疑獄、ロッキード事件リクルート事件と特捜部は政治とカネの問題にメスを入れてきたが、イタチごっこは果てしなく続くのではないか。政治家とカネの問題は「永遠の捜査課題」ともいえる。

小沢氏は今回の捜査を「国策捜査」だと強く批判した。特捜部に逮捕された経歴を持つ鈴木宗男氏も小沢氏の肩を持ち「国策捜査だから、小沢氏はやめなくともいい」と話している。IT業界のホリエモンこと堀江貴文氏や村上ファンド村上世彰氏が逮捕された際にも「一罰百戒」という言葉が使われた。多くの人が違法行為をしているが、その中でも目に余るケースは摘発するということだろう。今回はその論理に似ているような気がする。

多くの政治家が西松建設のOBが代表だった政治団体からから献金を受けている。しかし、小沢氏の場合は額も大きく、目についたに違いない。田中角栄元首相から政治資金集めの奥義を受け継いでいる小沢氏には、検察の視線が常に注がれていたはずだ。狙われていたのだ。それにしても多くの政治家は西松建設からのカネだという認識はなかったと弁明し、森元首相らほとんどが受け取ったカネは返すと言っている。笑止千万といっていい。

いま、日本社会は不況の嵐が吹き荒れている。そんな中で自民党麻生内閣は国民の支持を失い、一方の民主党は党首が捜査のターゲットになっている。政治不信なんて言葉はもう聞き飽きたが、こうしたときにかつてドイツを席巻したヒトラーのような人物が出ることは願い下げだ。つい最近は小泉劇場に酔ったばかりではないか。