小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

382 英国で最も不快なものはカラオケ 日本のワーストワンは

英国から、面白いニュースが伝わってきた。英国政府が2500人以上の大人を対象に「最も重要と思いつつ、最も不快に感じる発明品」について調査したところ、日本発祥のカラオケが1位になったというのだ。

携帯電話やゲーム機を抑えてトップになった背景は、日本とのカラオケ環境の違いもあるようだ。同じこの質問に、日本人ならどう答えるだろうかと考え、首をひねった。「最も重要」という条件が付いているからだ。

英国の調査結果はカラオケが22%で不名誉記録の1位になり、以下、2位24時間放送スポーツ番組(17%)、3位ゲーム機(12%)、4位携帯電話(11%)と続いている。英国人の知人によると、英国では日本のように防音施設が整った個室型のカラオケボックスが普及しておらず、居酒屋であるパブにカラオケが置かれていることが多い。そこで音痴の人や酔っ払いが歌って、トラブルになることも少なくないという。知人はパブに行き、カラオケをやめさせたことがしばしばあると話している。

日本でも、カラオケボックスのほかにスナックの多くにカラオケが置いてあり、見ず知らずの人の歌をいやいや聞かされたという経験を持つ人も多いはずだ。しかし、仮に日本で同じような調査をしたら、英国とはかなり違う数字だ出るのではないかと想像する。カラオケ愛好者が多いし「カラオケは文化」と言う人さえいるからだ。その結果、携帯電話やゲーム機の方が不快なものの上位を占めるかもしれない。

設問にある「最も重要で」という条件を考えると、やはりカラオケよりも携帯電話の方が「重要度」は高いのではないか。その上で「不快に感じる」点はすぐに何点か思いつく。携帯のほかにこの設問に一番妥当と思える発明品はすぐには浮かばないが、身の回りを見渡すと、最近急速に普及したものでは交通機関用のスイカパスモは便利で重要度も高い。そのほか薄型テレビや電動自転車も目につく。

だが、郊外のJRや私鉄の駅のラッシュ時には、改札口が少ないためにスイカパスモの利用者が長い列をつくり、改札口を通過するのにかなり待たされる例も珍しくないそうだから、ひょっとしてこれも「重要ながら不快な発明」の範疇に入るかもしれない。地上デジタル時代を見越した薄型テレビについては「いまのブラウン管テレビがまだ見られるのに、アナログ放送をあと2年で終了させるのは不快」という声もあるが、薄型テレビ自体はすぐれた発明品であり、不快のランク付けは高いかどうか。

そう考えていくと、いまの日本社会ではやはり携帯電話がトップになるのだろうか。先日も映画館で、上映前に携帯の電源は切るかマナーモードにという案内があったにもかかわらず、映画が最高潮に達したところで、携帯の呼び出し音が鳴り出し(1回のみならず2回も)不快以上に怒りを感じたものだ。

携帯が日本人の大半に普及しているのだから、この種のマナー違反を減らすのは困難だろう。個人的には不快のトップは「パチンコ」だと判断するのだが「重要」という条件には適合しないと思うので、特別枠のトップに指定するか。