小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

333 中欧の旅(7) ウィーンの宮殿コンサート

画像
オーストリア・ウィーンは「音楽の都」という代名詞が付く。以前、山田洋次監督、渥美清主演の人気映画「男はつらいよ」シリーズ41作目のウィーン編(竹下景子がマドンナ役)を見たことがあり、このときも音楽会のシーンがあったことを記憶している。 ウィーンといえばいろいろな建物があるが、シェーンブルン宮殿は一見の価値がある。何しろ、日本では考えられないくらい豪華で贅沢なつくりなのだ。この宮殿でクラシックのコンサートを聴く機会があった。 この宮殿は、ハプスブルク皇帝家の居城であり、マリア=テレジア女帝時代に広大な庭園を持つ豪華宮殿になった。コンサートが開かれたのは、イタリアの画家グリエルミによって天井にフレスコ画が描かれた大ギャラリーといわれる部屋だ。 長さが43メートル、幅10メートルあり、マリア=テレジア女帝時代から舞踏会やレセプションが開催されていたという。1961年にはアメリカのJF・ケネディ大統領とソ連フルシチョフ首相の首脳会談としても使われたことで有名だ。
画像
さて、コンサートはシュロス・シェーンブルン・オーケストラ・ヴィエナの演奏で、第1部がモーツアルトの作品(歌劇フィガロの結婚より、交響曲35番ハフナー第一楽章など)、休憩を挟んだ第2部がヨハン・シュトラウス一族と同時代の作曲家のワルツ(美しき青きドナウなど)の作品を聴くことができた。 このオーケストラは1997年に結成された室内オーケストラで若手が中心だ。兄妹バレリーナのバレエ、ソプラノとバリトン歌手も参加した豪華な部屋でのコンサートに、マリア=テレジア時代の舞踏会を連想した。女性バレリーナが踊り終えると、元気いっぱい飛び跳ねるようにして舞台を去るのが印象に残った。
画像
演奏された作品は、多くの人が聞いたことがあるポピュラーなものばかりで、退屈はしなかった。しかし、チケットはもらっても、8ユーロを払って、プログラムを買わないと演奏曲目が分からないというのは、日本では考えられないことだ。水も買って飲む国だから、それも仕方がないことなのか。 ウィーンには、ベルリンフィルと並んで超一流のウィーンフィル小沢征爾音楽監督を務めるウィーン国立歌劇場もある。ちょうどこの日の昼に国立歌劇場の前を通ると、既にオペラを見ようという人々が列をつくっており、なるほど「音楽の都」だと実感した。