小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

156 夏の過ごし方 エアコンとの付き合い

画像
このところの猛暑で、熱中症患者が多発している。高齢者の犠牲が目立つ。19日には東京・目黒区でアパート暮らしの老夫婦が熱中症で亡くなったというニュースがあった。日本の夏は、北海道を除いて気温も湿度も高くて、過ごしにくいと外国人にいわれていたが、過ごしにくいどころか、生命まで危ぶまれるような異常な「熱帯化現象」が進行している。これが一過性であることを祈らざるを得ない。 暑い夏の送り方はさまざまだ。私の子どものころは、もちろんエアコンなどがないし、あまり密閉されていない、だだっ広い家に住んでいたから、暑さを感じることは少なかった。 夏休みには、キャンディ売りが鐘を鳴らしてやってくるのを待つのが楽しみの一つだった。兄に連れられて行った農業用の貯水池で泳いで溺れそうになったこともある。だが、夏は楽しい季節で、苦痛を感じたことは全くなかった。 長じて、首都圏での暮らしは、エアコンなしで夏を過ごすことはできないようになった。いまから10数年前も猛暑の夏、浦和に転勤した。デパートでエアコンを申し込んだが、品切れ状態で私の部屋にセットするまで10日を要した。エアコンなしで寝ようとしたが、体調がおかしくなって、一睡もできない。それほどの暑さだった。仕方なく、エアコンが付くまで片道2時間をかけて自宅から浦和まで通った。 だが、同じ職場の女性同僚は、そんな毎日でも、エアコンとは縁のない生活を送っていた。「窓を開ければ、平気」という。暑がりの夫も我慢することに慣れたようだ。 きょうも暑さを話題にしていたら、70歳になるという先輩が「私もエアコンは使わない。団扇と扇風機でやっている。エアコンは体に悪いからね」と事も無げに話すのだ。 それでも、この夏の暑さは異常である。しかも、ニュースによれば、70歳以上の高齢者は、体温の調整ができなくなっているので、このような状況では熱中症になりやすいという。我慢は禁物ということなのだ。暑さのためか、電車の人身事故も相次いでいる。 東京都心を日中歩くのはつらい。夕方でさえもアスファルトジャングルは、人間に対し容赦ない熱を送り続ける。だが電車を乗り継ぎ、郊外の駅に降りると涼風が頬をなでるようでホッとする。秋の到来をどことなく感じる瞬間だ。