小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

135 迷犬hanaの落とし穴  体調不良は過保護から

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珍しく、休みの娘から帰りに駅まで家で飼っているhana(ゴールデンレトリーバー)を連れて迎えに行くという連絡があった。暑いから、散歩は少し涼しくなってからにしたので、ちょうど帰りに待ち合わせることができるというのだった。 電車を降りて、待ち合わせ場所に行くと、hanaは飛びついてきた。娘は「散歩の途中、歩くのをいやがったの。ほら、お父(おとう)が帰ってくるよというと、歩き出したんだ」と言う。帰りに遊歩道を歩いた。 すると、hanaは途中でかがみこんで排泄をした。それは軟らかいものだった。健康ならば、固い文字通りころころ状態に近いものを排泄するのだ。 朝の排泄物もやわらかかったと娘は言う。梅雨に入り、涼しい日が続いた。しかし、このところ雨がなく、蒸し暑い。hanaにはこれがこたえたのかもしれないと思った。 体調を崩したhanaに夕方のえさも控えた。水だけは与えたが、飲んでしばらくして気持ちが悪いと訴えるかのように、うろうろ歩きまわる。そして、飲んだ水を全部吐き出した。 何か悪い物を口に入れてしまったのだろうか。でも、家族には心当たりはない。家族が慌てて動物病院に電話をする。診察時間は8時までだ。あと数分しかない。無理を承知で頼み込み、動物病院に駆け込んだ。 いつも、hanaは病院が嫌いらしく、待合室に入っただけで震えだす。診察室に入り、1メートル近い高さの診察台に乗せようとすると、震えながらしり込みする。27,8キロの巨体を抱きかかえて診察台に乗せなければならないのだ。この日もそうだった。 医者の問診。「そういえば、前日ブドウを食べさせました」と答える。「前にはミニトマトを食べさせ、体調不良になったことがありましたね。この子(犬)はデリケートなんですよ。食べ物には気をつけてください」と医者。注射を2本射ち、缶詰をもらった。 hanaは野菜や果物が大好きなのだ。hanaを溺愛する家人は、ついついこうしたものを食べさせてしまう。つられて私も同様の行為をする。犬にとっては、まずいことなのだが、ついやってしまう。 今回、憂鬱な日々を送らせた体調不良の原因は、実は私たちがつくってしまったのかもしれない。私たち3人が焦った時間には、hanaが一番言うことを聞く長女は不在だった。一日が過ぎ、hanaの体調は戻ったようだ。夜、郵便ポストまで行く私に彼女はうれしそうに尾を振りながら付き合ってくれたのである。