小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

69 表と裏 あの会社もか

ことしになって、不二家北海道ガス関西テレビと有名企業の不祥事が相次いでいる。これらの事象は食べ物、ライフライン、テレビに対する不信感を増幅させた。

北海道ガスの場合は、ガス漏れが人命につながることを軽視した結果だが、不二家関西テレビのケースは、「バレなければいい」という姿勢が企業に横行していることを露呈したわけで、消費者や視聴者にはクスリになった。

この世には、表と裏がある。それは大なり小なりだれでも承知していることである。美味しいことで評判のレストランの調理場が実はものすごく汚くゴキブリが動き回っているかもしれない。しかし、店はピカピカだったら、客はそんなことは予想もしない。不二家の洋菓子を売るきれいな店を見たら、だれだって製造工場の不衛生さなんて思わない。

テレビは「やらせが多い」と分かっていても、納豆がダイエットに効果があるというデータを示し、しかも学者がそうしたコメントをしたとしたら、信じてしまう。データや学者のコメントもねつ造だなんて想像はしないから、女性たちはスーパーに並んだ納豆を買い占める。情報に踊り、買い占めに走るのは日本人の癖なのだから。

北海道ガスは3人の命を奪ってしまった。この会社は、ガス漏れの際は念には念を入て調べるという姿勢に欠けていたのだろう。厳冬期の北海道で、夜を徹して漏れた個所を調べるのは厳しい。しかし人命にかかわる事態なのだ。点検は徹底的に、丁寧にやる必要があったのだ。

記者会見で、データのねつ造をなかなか認めなかったという関西テレビの社長は、事の重大さを認識していなかったのだろう。きょうの新聞の扱いの大きさ(多くの新聞が一面トップ)に驚いているかもしれない。納豆ダイエットの騒ぎを見ていると、テレビの世界でやらせやねつ造が日常茶飯事なのではないかと想像してしまう。これが邪推であればいいのだが。

国会議員の事務所経費問題も「表と裏」があることを世間に証明する話題だ。大臣一人はやめたが、その後はどうなったのか、動きが急に止まってしまったのが不思議だ。この問題は与野党ともこれ以上突きたくないという裏の事情があるのだろうか。

話変わって、アメリカのブッシュ大統領は、イラク大量破壊兵器保有していることを口実にイラク戦争を始めた。しかし、その大量破壊兵器は発見できず、いまごろになってブッシュ大統領は「なかったことを知って驚いた」と語っている。そんなブッシュ大統領に肩入れしたのが小泉政権だった。口先でごまかし続けた小泉首相は、いまごろどんな思いでいるのだろう。裏に回った小泉さんの本音を聞いてみたい。