小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

68 初めての失敗 迷犬hanaの告白

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ストレスは人間社会だけのことではないらしい。以下は、わが家のhanaの告白である。 このところ、昼間私はいつも孤独です。この家で一番私の面倒をみてくれるママの姿が見えないからです。一軒家で留守番をするのは、ママが習い事に出かける週1回だけでした。それなのに、今週はママの姿はずうっと見かけません。夜になると、帰ってくる私の妹分の「ちいら」ちゃんもいないのです。さびしくて、さびしくてたまりません。
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週の初めの朝早く、2人はおとうさんの車で出かけていきました。私は開いていた玄関から飛び出し、車に乗ろうとしましたが、おとうさんに抱き上げられて家に戻されてしまいました。それから、2人はいないのです。おとうさんは間もなく戻ってきましたから、2人はどこかに旅行に行ったのでしょう。 その日から、私は毎日留守番です。朝早く太陽が出ない前に起こされ、おとうさんと暗いうちからお散歩に行きます。家に帰るともう1人いるおねえちゃんは仕事に行ってしまい、おとうさんも最近は仕事をしているのか、おねえちゃんの後から出かけて行き、8時半から私は一人ぼっちなのです。 3日間はさびしさを我慢しました。でも4日目もう我慢ができなくなってしまいました。夕方、吐き気を催し、ちょっとだけ吐いてしまいました。するとお腹の調子までおかしくなりました。我慢しましたが、だめでした。 リビングのカーテンを何とか開けて外に出られないかどうか見てみましたが、サッシにはもちろん鍵がかかっています。我慢の限界でした。窓際で粗相をしてしまいました。こんなことは4年半の生活で初めてです。 そこにおねえちゃんが帰ってきたのです。おねえちゃんはこの家で私の姉のような存在で、いつもかわいがってくれます。この日も、いつもの通りただいまのチューをしながらなでてくれていたのですが、途中から「うんち臭い!」と言い出し、部屋の中を探し回り出したのです。その後のことはご想像におまかせします。 夜遅くに帰ってきたおとうさんは大笑いしながら「ママがいないストレスだな~」なんて、のん気なことを言っていました。おねえちゃんには悪いことをしてしまいました。おねえちゃんは「月曜日はママたちちが帰ってくるから、もう少し辛抱してね」と言います。そんな訳で留守番ももうすぐ終わりです
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そうそう、言い忘れていましたが、実は粗相をする前の夜にキッチンに入りこんで、またまた白菜を盗み食いしてしまったのです。半分くらい食べて2階から降りてきたおとうさんに見つかってしまったのですが・・・。 それがよくなかったのかな。でも、白菜をまるかじりするあの幸せが忘れられなくて・・・。キッチンにそれがあったので、ついつい食べてしまったのです。 それにしても、この家にはよく白菜があるなと思うのですが、きょうの散歩で畑に行ったら、まだ収穫しない白菜がありました。おとうさんは「無農薬だから体にいいんだ」と言っていました。それなのに私はどうしたことでしょう。つまみ食いの罰が当たったのでしょうか。 粗相のことをメールで見て、ママはおとうさんと同じく大笑いしていたそうです。いやだなあ、帰ってきたらからかわれるかな。でも、ママは優しいので、たぶん私の頭をなでて、そのあと黙って抱きしめてくれるはずです。そう思います。
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