小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

38 自然の脅威(続)

北海道佐呂間町の竜巻被害は、自然の脅威を示している。亡くなった9人の方に哀悼の意を表したい。

物理学者で、随筆家の寺田寅彦の「天災は忘れたころにやってくる」という警句は有名だ。

だが、この警句そのものは、彼の作品や論文にはないという。大きな災害が発生する度に周囲にこの言葉を話し、これに類することを手紙などに書いて注意を呼びかけたため、いつしか、寺田寅彦の名言として使われるようになった。

昨日のテレビは、低気圧によって、天気が荒れ模様になるという予報を流していた。その通りだが、「竜巻」の発生については、予測報道はなかった。それだけに竜巻の予測は困難ということなのだろう。

米の映画「デイ・アフター・トゥモロー」を見た人は多いだろう。地球の温暖化で海流に異変が生じ、超大型の低気圧が発生し、地球に一時的な氷河期がやってくる。そうした極限状況の中で必死に生きる人々の姿を描いたSF作品だ。

いま、地球の温暖化によって、予測以上の気象異変が起きており、この映画を単なる娯楽作品としてだけでなく、地球温暖化への警鐘と受け止めた。

寺田寅彦は「人間は何度同じ災害に遭っても、決して利口にならぬものであることは歴史が証明する」とも、書いている。

自然災害が多発するいま、私たちは、この言葉を重く受け止めなければならない。