小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

36 学校評価

東京都足立区教委が区立の小中学校に配分する来年度予算で学力テストの成績に応じて各校の予算枠に差をつける方針を固めたという新聞記事を読んで、教育もここまで来たかという印象を持った。

先に必修科目の未履修問題で、背景には「成果主義」があると指摘したが、足立区の方針はまさにこれを実践するものだ。

新聞によると、足立区にある小学校72校、中学校37校をそれぞれ4段階に分け、予算配分は最上位が約500万(中学)~約400万円(小学)、最下位を約200万円にする予定だという。

東京都のテストで足立区の成績が良くないために、学校間の競争を促進する狙いがあるというが、「教育の機会均等」という原則を忘れた誤った方向というべきだろう。

早朝の散歩で、見ず知らずの小学校低学年の子どもに「おはようございます」と、時々あいさつをされる。こうした時、教育、しつけの大事さを感じる。それは成果主義の教育からは生まれないと思うのだ。

F・H・バーネットは「精神の健康が肉体の健康をもたら」という思想に沿って、イギリスを舞台にした小説「秘密の花園」を書いた。この小説に登場する3人の少年少女(メアリー、コリン、ディッコン)は、何と魅力があることか。

朝、言葉を交わす子どもたちの表情を見て、秘密の花園の3人を思い浮かべる。いまの時代こそ、精神の健康をもたらす教育とは何か考えることが必要なのだと思う。