小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

34 教育の危機

必修科目の未履修、いじめ自殺。テレビの報道を見るたびに、学校関係者が頭を下げている。

これは何なんだと思う。いやしくも教育者が、あちこちで頭を下げ続けるという状況はおかしくはないか。

だが、これがいまの日本の実態なのである。有名大学の合格率を上げ自分の高校の高い評価を得たいと思って犯した世界史の未履修問題。さらに、いじめにあった子どもたちの自殺が相次ぎ、いまや全国的に学校の校長は、頭を下げるのが仕事のようになっている。

学校の先生、ましてや校長といえば、かつては聖職者として、尊敬される存在だった。それが、どうなってしまったのか。高校では「点数稼ぎ」に走ってしまう。そして、中学校や小学校では、校内でいじめがあっても、子どもたちが自殺に追いまれるまで深刻な事態が分からない。

一体、何のために教師という道を選んだのだろうか。不思議でならない。

きょう、国会では教育基本法改正に関して、衆院の委員会で質疑があり、NHKがその模様を中継した。ここまで学校の教師を追い込んだ責任の一端は文科省にあるはずなのに、伊吹という大臣は学校や教育委員会を責めるばかりで、自分の責任はあまり感じていない様子だった。

安倍首相も基本的なことを繰り返すばかりで、中身のない答弁に終始したと感じた。

余談だが、安倍首相は就任して1カ月余が過ぎたが、その表情は疲れきっているようで、精気があまり感じられない。元気いっぱいだった小泉前首相とは対照的だ。

 

就任直後、中国と韓国を訪問中に北朝鮮の核実験問題という緊迫した状況に見舞われたため、大きな心労があったのだろう。

その心労は、いま全国の多くの校長が抱えている。この危機を乗り切る妙薬はあるのか。