小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

27 セイタカアワダチソウ考

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 近所の散歩コースにセイタカアワダチソウが群生している場所がある。  先週あたりから、黄色い花が満開となり、遠目にはまるで菜の花が咲き誇っているように見える。  百科事典によると、キク科の多年草で、別名セイタカアキノキリンソウ。北米原産の帰化植物で、土手や荒地に群落を作る。高さは1-2メートルで、10-11月に黄色の花を咲かせる。かつては花粉症の原因とされたが、現在は否定されているという。  子供のころは、秋といえば、原っぱにはススキが群生していた。この雑草が日本の秋景色を変えたのは、いつのころからだろう。もう2,30年はたつかもしれない。  生命力の強いこの植物は、いつしか日本の秋を占拠し始め、ついには北海道にまで、行き渡るようになった。  しかし、強いはずのこの植物にも弱点があった。天敵であるススキとのし烈な闘いの結果、ススキがはえている周辺からは次第に姿を消しつつあるのだ。  さらに、一気に増え過ぎたため、自家中毒現象を起こし、次第に日本の野原から衰退しつつあるというのである。  セイタカアワタチソウの生態は、自然にも一定のルールがあることを示しているといえるだろう。  国家、企業、個人にもこのルールは当てはまる。平家物語にも「驕れる平家は久しからず」とある。  散歩コースの一角で、自分たちの領域に咲き誇る黄色い花は、なぜか寂しく見える。