1932 ちいさい秋がやってきた 山頭火とともに
秋おだやかなお隣りの花を見るなり 種田山頭火
今朝5時半の気温は16度しかなかった。つい最近まで猛暑などと言っていたのがうそのような気候の変化である。きょう30日で9月も終わり、秋本番ともいえる季節の到来だ。コロナ禍を忘れ、束の間だけ秋をテーマにした歌を口ずさんでしまうほど、さわやかな日和になった。
秋になると、頭に浮かぶ歌はなんだろう。『旅愁』(犬童球溪作詞、オードウェイ作曲)、『里の秋』(斎藤信夫作詞、海沼実作曲)、『ちいさい秋みつけた』(サトウハチロー作詞、中田喜直作曲)の3曲はみんな古いが、秋の歌の代表といっていい。『旅愁』は原曲がアメリカの歌で、2019年10月のブログに記している。『里の秋』と『ちいさい秋みつけた』の2曲は、日本の秋の名曲といっていい。特に『ちいさい秋みつけた』の2番の歌詞は、コロナ禍で外出をできるだけ避けている人々の心に迫るのではないだろうか。
だれかさんが だれかさんが
だれかさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた
おへやは北向き
くもりのガラス
うつろな目の色
とかしたミルク
わずかなすきから 秋の風
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた
「いつからともなく、どこからともなく、秋がきた。ことしは秋も早足で来たらしい」
自由律俳句で知られる種田山頭火の随筆「草と虫とそして」(『愚を守る』より)の書き出しだ。つい先日までエアコンに頼っていたのに、そんな日が懐かしくさえ感じるようになった。そう、山頭火が書く通り、いつからともなく、どこからともなく、秋がきたのだ。散歩をすると、ささやかな秋の気配が漂い、ちいさい秋をそこここに見つけることができる。彼岸花が咲き誇り、萩の可憐な花も道端に咲いている。山頭火とともに、私も秋を歩こう。
写真 1、散歩コースの公園に咲いた彼岸花
2、同、ささやかな秋を感じさせる萩の花
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