小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1900 コロナ感染者1000万人超 壮大なる無駄遣いアベノマスク 「ブログ1900回!」

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 ブログ「小径を行く」は今回で1900回です。初めてから14年。ここまで到達しました。この記念すべき回にコロナ感染対策の「アベノマスク」、感染者1000万人について書いてみました。これも歴史なのでしょうか。  

 政府が新型コロナ感染拡大防止を目的として全世帯に配布(1世帯当たり2枚、計1億3千万枚)をした「アベノマスク」といわれる布マスクを利用している人を見たことがない。不思議な話である。私の家に届いたのは、安倍首相がマスクを配りますと、記者会見で宣言してから1か月半後の6月15日のことだった。周辺の家庭にも同時期に届いているはずだが散歩、ラジオ体操、日常の買い物、電車での買い物や通勤……。家族に聞いてもこれらの範囲内でこのマスクの人はいまだに見かけない。首相だけがつけている不思議なマスクは、新型コロナに右往左往した時代の象徴として、多くの人の記憶に残るだろう。  

 一時期マスクは店頭から消えたから、記者会見でマスクを配るという首相発言に期待を持った人もいるだろう。だが、その期待は裏切られた。マスクは小さいし、容易に届かない。届いたものは汚れているものも含まれていた。多くの世帯に届いたころは、ほとんどの店頭に様々なマスクが並んでいた。しかも日本は梅雨。布製のマスクは付けているだけで苦しいから合わない。(まだ届いていない地区もあるという)

「次なる流行にも十分反応できるよう、布マスクを多くの国民が保有することに意義がある」。菅官房長官の言葉は第2波の際に使ってほしいという言い訳にしか聞こえない。当初の予算、466億円から約260億円に圧縮したとはいえ、やはり壮大なる無駄遣いとしか言いようがない。それだけではない。政府が配ったマスクはコロナ対策にも有効でなければならないはずだった。だが、その効果は疑問のようで、研究者が調べた結果、このマスクはウイルスを防ぐ効果はなかったという記事も読んだ。  

 このところ、東京を含め首都圏のコロナ感染者が高い数値を出し続けている。それに対する政府、東京都の対応は経済優先だ。しかも、街を歩くとマスクを付けない人も少なくないから、やっかいなウイルスは増殖を続けている。世界の感染者は、ついに1000万人(日本時間午後8時半米ジョンズ・ホプキンズ大集計。感染者1000万4643人、死者49万9296人)を超えた。

 世界の人口は77億人(推定)だから、数字的にみたら割合は低い。だが牙をむいたウイルスは米国を最多に中南米で拡大、さらに貧困層が多いアフリカを襲い始め、全地球的ウイルスとの闘いの様相になっている。世界の人々、そして日本人はいつまでマスクをつける生活を送る必要があるのだろうか。それはだれにも分からない。

《夏の暮れタイムマシンのあれば乗る 南十二国》 

 この句のように、タイムマシンに乗って今の世界から別の時代へと行ってみたい誘惑にかられる。とはいえ、それは無理なことだから、せいぜい世の動きを斜に構えながら見つめ続けることにする。