小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1833 東京は優しくない街 弱者の扱いで分かる文化レベル

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 大阪に住む友人が東京で電車を利用した体験を、自身のフェースブックに記している。来年、東京でオリンピックとパラリンピックが開催される。マラソン競歩が札幌で実施されることに決まったことで大騒ぎしているが、東京の障害者対策が遅れていることを友人は厳しく指摘している。私は2年前右足に大けがをした。当時、友人と同じ思いを抱いたことが忘れられない。以下に、友人の東京での体験を基にしたつぶやきを紹介する。

《れいわ新選組の木村英子参院議員が身障者で初めて国会で質問した。わたしも低血糖症になり、足腰に力が入らなくなってから、JRや地下鉄駅などの階段の上り下りの際、身障者の苦痛を知ることになった。木村英子さんの質疑は、これまで以上に強い関心で聞いた。  身障者の視点で言うと、東京は大阪に比べてJRや西武鉄道、地下鉄駅の階段の上り下りが大変だ。先日東京の数カ所を駆け足で巡って実際にその辛さを体験した。どうなっているんだろう? 東京の遅れは。 何かと世に問題を提供する大阪システムだが、ことJRや地下鉄の階段に関してはエスカレーターが東京よりも数の多さで勝っているのは意外だった(ただし阪急は東京並みに少ない⇒強者の論理か)  

 階段の上り下りはとても辛いものがある。手すりにつかまって上り下りしないと転び落ちないかと一瞬一瞬不安になる。エスカレーターを利用すればこの不安や苦痛がかなり解消される。この点で東京はお年寄りや身障者、病人たちにとって優しくない街だと知った。オリンピック開催の前に諸々の対策が必要だったのではないか。暑さ対策以外にも》(11月6日のフェースブック) 

 2年前、私は事故で右足に大けがをした。入院、手術、リハビリで現在は回復したが、完全回復までに約1年を要し、その間はかなりつらい思いをした。どうしても出かけなければならないことがあって電車に乗ろうとすると、友人が書いている通りエスカレーターは少なく、長い階段の上り下りは楽ではないのだ。探せばエレベーターがあるのだろうが、その表示はなかなか見つからない。そのため出かけることは極力控えた。多くの身障者も同様ではないかと思われる。

「弱い者がどう扱われるかによってその国の文化程度がわかる」と言い続けた全盲の女性がいた。斎藤百合(1891~1947)である。粟津キヨ『光に向って咲け』(岩波新書)によると、百合は全盲というハンディを乗り越え、東京女子大の第1期生となり、視覚障害若い女性たちのための福祉と教育に生涯をささげた先覚者だ。彼女がこの世を去って72年。来年には東京では2回目の夏のオリンピックと初めてのパラリンピックが開催される。東京の文化は、百合に胸を張って誇れるレベルにあるのだろうか。  

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