小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1832 季節は秋から冬へ ラガーの勝ち歌みじかけれ

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 散歩コースの遊歩道から調整池を見ていると、このところ毎日のように霧が出ていて、美しい風景を演出している。今朝も昨日に続き霧が出ていた。茜色に染まった雲と紅葉が始まった森、赤いとんがり屋根の小学校、その下に薄く広がる白い波のような霧が見事なコントラストを描いている。今年の立冬は明日8日(金)。悪いニュースが相次いだ2019年だが、この風景を見ていたら気分は爽快になった。  

 立冬の初候は「山茶始めて開く」(つばきはじめてひらく)である。候には「つばき」とあるのだが、ツバキ科の山茶花サザンカ)のことを言うのだそうだ。私の家の山茶花はまだつぼみだが、隣の家のこの花は既に咲いている。まさに山茶花の季節がやってきたといえる。日中預かっている小型犬は、陽だまりが恋しいのか、窓際に身を置き陽光を浴びてのんびり昼寝を楽しんでいる。  

 今年は自然災害の多発など悪いニュースが多かった。そんな中、先日終わったラグビーのワールドカップに勇気づけられた人も少なくなかったかもしれない。友人もそのひとりである。今回のワールドカップで日本代表がベスト8まで勝ち進んだこともあり、私を含め多くの人がにわかラグビーファンになった。友人は学生時代に女性のラグビーチームに所属し、兄もラグビーの選手だったこともあって私のようなにわかファンと違って、ワールドカップを心待ちにしていたようだ。  

 友人にとって、今年は星回りが悪かった。母親と親友、さらに愛犬(ゴールデンリトリートバー)が相次いでこの世を去り、これまでにない悲しみを味わったのだ。失意の友人を救ったのは、ワールドカップで決勝ラウンドに進んだ日本代表の活躍だった。友人は試合中に大腿部に大けがをしたこともあるが、ラグビーを嫌いにはならなかったようだ。懸命にトライを目指して戦い続ける選手たちを見て、泥まみれになりながら走り回った青春時代を思い出し、悲しみが少しずつ薄れていったのだろう。  

 ラガー等のそのかち歌みじかけれ 横山白虹  俳人で医者だった横山(本名・健夫。1889~1983)は、1934(昭和9)年2月18日、大阪の花園ラグビー場で行われたに日本対オーストラリアのラグビー試合を見て、この句をつくったのだという。句にある「かち歌」は、ノーサイド後、勝ったチームが相手の健闘を讃えながら自分たちの勝利を短く叫ぶ凱歌(ウォークライ)のことだ。俳句ではラグビーやラガーは冬の季語になっている。ワールドカップは終わったが、立冬とともにラグビーの季節がやってくる。

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