小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1688 観測史上最高の「激暑」 心配な東京五輪

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 近所の自治会の掲示板に、夏休みの子どもたちの「ラジオ体操」や「そうめん流し大会」中止の案内が出ていた。長引く猛暑の影響だ。散歩をしていると干からびたミミズの多くの死骸が目に付き、街路樹からはうるさいほどのセミの鳴き声が聞こえる。大暑の23日、埼玉県熊谷市では午後2時過ぎ、観測史上最高の41・1度を記録した。風呂に入っているような温度である。テレビのアナウンサーは「各地で命に関わる危険な暑さになっている。熱中症に厳重に警戒してください」と、呼び掛けている。異常な猛暑(酷暑、溽暑、炎暑ともいうらしい。私は激暑と名付けた)が日本列島を襲っている。2年後の夏、東京で開催される五輪が心配だ。  

 一度だけ熱中症になったことがある。真夏に屋外のコートでテニスをやっていて、急に体がふらつき、吐き気がしてきた。慌ててテニスをやめた。コートが家の近所だったため、すぐに家に帰り、冷たいシャワーを浴び横になった。2時間ぐらいして何とか回復したが、あの気持ちの悪さはよく覚えている。以後は炎天下の行動には気を付けている。今夏、全国で熱中症による犠牲者が後を絶たない。特に夜になって救急車で運ばれる高齢者が多いという。  

 毎年、夏の気温が上がり続けている。2年後の東京はどんな気候で五輪を迎えるのだろう。地球の温暖化現象が確実に進んでいるのだから、厳しい予測をせざるを得ない。特に長時間の戸外競技、マラソン競歩の選手は気の毒だ。マラソンは予定した時間を30分早めて午前7時のスタートになると決まったそうだが、専門家が「根本的問題解決にはなっていない」(朝日、東大横張真教授の話)と言うまでもなく、この時間帯の競技は選手に想像を絶する過酷さを強いるのではないかと思われる。  

 路面温度上昇を抑える特殊舗装、送風機の設置、街路樹の整備、ミストシャワーなど暑さ対策は考えられているにしても、焼け石に水ではないか。杞憂に終わればいいのだが「アスリートファスト」(選手第一)とは程遠いと環境になる恐れがある。2年前のブログにも書いているが、夏の五輪が7~8月に開催になったのは、テレビ放映権、スポンサーの意向をIOC(国際五輪委員会)が受け入れているためといわれる。それにしても、この時期の開催のために多くの税金が投入される。ばかげた話である。  

 この猛暑で心配になるのは電気と水道だ。東京電力の場合、ピーク時供給力6、084 万Kwだが、23日は午後2時過ぎに93%に当たる 5、652万Kw(やや厳しい状況) の最大電力を記録したという。一方水道の方は、利根川水系8ダムの貯水率は72%で、幸い今のところ黄信号までには至っていない。例年なら8月はさらに暑くなるのだが、ことしはどうなるのか。涼しくなることを願うばかりである。

1386 曲がり角の商業五輪 記録的猛暑の中で考える