小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1487 嫌われる鳥でも ヒヨドリが玄関脇に営巣

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 野鳥の中で、ヒヨドリは全体が灰色と姿も美しさとは程遠く、鳴き声もピーヨ、ピーヨとやかましい。冬、庭のガーデンテーブルにミカンを置くとメジロがやってくるが、ヒヨドリがついてきてメジロを追い払って、食べ尽くしてしまう。そんなヒヨドリを好きだという人はそういないのではないか。私もヒヨドリは好きになれない。

 だが、最近、このヒヨドリと付き合う日々が続いている。 それは、私の家の玄関横にあるカクレミノの木にヒヨドリが巣をつくり、卵を産み、親鳥がそれを抱えているからだ。

 ヒヨドリ留鳥で分布は日本国内であるため、外国人にとっては珍しい鳥のようだ。富山県砺波市は2005年、ヒヨドリを市の鳥に指定している。それだけ、砺波市にはヒヨドリが多いのだろう。市のHPにはヒヨドリの説明がある。

ヒヨドリは、市内全域に生息しており、四季を通じて見られる身近な野鳥と言え、木々が茂っている環境なら何処にでもいる鳥です。砺波地方では、一般的に子育てのシーズンは低山帯で暮らし、秋から春にかけては平野部にいることが多いので、屋敷林でもよく見かけることが出来ます。大きさは中型(ハトより少し小さめ)で全体の色はシルバーグレー、ピイーピイーとかピイ~ヨピイ~ヨと甲高い声で鳴きます。甘いものを好むので椿や桜の花の蜜を吸いに来ますし、木や草の実も良く食べます。種子の運び屋さんとして、森づくりにも一役かっています」

 鵯(ヒヨドリ)の花吸いに来る夜明けかな 酒井抱一

 ヒヨドリは糖分を好む鳥で、ツバキやサクラなどの花の蜜を吸い、庭先に置いたミカンやリンゴの半切れ目指してやってきたメジロを追い払ってひたすらついばみ続ける。抱一は江戸時代の絵師で俳人だ。同じように絵と俳諧で知られるのは与謝蕪村(最近話題の伊藤若冲は蕪村と同じ1716年に生まれだ)がいる。抱一は蕪村よりも45年後の1761年に生まれている。抱一の代表作「十二ヶ月花鳥図」にはヒヨドリらしい鳥が描かれている。

 私の家の庭先に野鳥が巣をつくったのは、キジバトの2回(生垣とキウイフルーツの木)に続き、今回が3回目だ。それにしてもヒヨドリの巣は私たちが出入りする玄関脇だ。ヒヨドリ自身も落ち着かないらしく、人の気配がすると、巣から慌ただしく飛び立っていく。その巣をのぞくと3個の卵があった。 だが、家族の出入りの度に親鳥が巣を離れるのだから、この卵が孵化するかどうかは分からない。これから、玄関の出入りを静かにして、ヒヨドリの卵が孵化することを願うばかりだ。

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