小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1294 hana物語(36) つぶやき13

画像「いたずらをやりました hanaのつぶやき」

 ことしもきょうで終わり、2011年が近づく足音が聞こえてくるようです。私は8歳半になりました。夕方の散歩のとき、だれもいない広場で「お父」がリードをはずしてくれたので、思い切り走ってみました。近くに落ちていた野球のボールを「お父」が遠くに投げ、それを追いかけたのです。

 私は一生懸命でしたが、家に帰った「お父」は家族に「ハナの足が遅くなったよ」と報告していました。それほどでもないと私は思うのですが、「お父」から見ればやはり走る速度は以前よりも落ちているのかもしれません。  今月、私はあるいたずらをしてしまいました。

家族の留守中に居間の隣の和室に入り込んで、そこにあったチョコレートやクッキーを残らず食べてしまったのです。家族が大事にしていて、お正月に食べようととっておいた物だったようです。 このいたずらに対し家族は怒るよりもあきれたみたいでした。それよりも「ハナは、家族がそろっているときに、自分だけ家で留守番をさせられると、腹いせに悪い事をやるのではないか」とみんなが話していました。

 過去のいたずらを思い出してそう分析をしたようです。 私はそれが当たっているかどうかは分かりませんが、歳をとるにつれてだれもいない家で留守番をするのがつらくなってしまい、本能的に食べ物を探して食べようとするのです。

 以前も台所のキャベツを半分食べてしまったことがあります。「私を忘れないで」という強い思いが、いたずらに走ってしまう原因なのかもしれません。  私はこの家の人たちが大好きです。いま、年末年始の休みで家族が全員そろっています。だから家族が何をしているのか気になり、おちおち寝ていられません。ふだんなら睡眠はたっぷり取るのですが、最近は寝不足気味なのです。だから、夕方の散歩のときのボール拾いも行動が鈍かったのかもしれません。

 この家にやってきたころは家族に心配させることが何度もありました。でもことしの私は病気をせず健康で1年を送ることができました。あのおじいちゃん先生にも定期健診以外はお世話になることはありませんでした。来年も健康で楽しい1年を送りたいと思います。明日は「お父」と初日の出を見に行きますよ。(2010・12)

 

「悲しい出来事 hanaのつぶやき」

 寒い日が続きますが、みなさんこの寒さに負けず、頑張っていることでしょうね。私はお陰さまで体調は絶好調です。 あの夏の暑さに比べたら、いまの季節は極楽ですね。ストーブで暖められた部屋は暑いくらいで、つい廊下に出てしまいます。 実は最近、悲しいことがありました。友だちがこの世から去っていったのです。体調はいいのですが、そんなことがあって、ちょっとさびしい思いをしています。

 友だちは近所のシベリアンハスキーという、私よりも6、7歳年上の犬でした。夕方の散歩のときに会うと、飼い主のおばさんが必ず頭を撫でてくれるのです。シベリアンハスキーは年上なので、黙ってそれを見ていてくれました。私にとって憧れの先輩でした。先輩を飼ってくれた家族が「今日の彼はs¥静かだなあ」と思って見てみると、息を引き取っていたそうです。老衰というのでしょうか。うらやましい亡くなり方だと思います。

「お父」も、最近先輩が亡くなったと言っていました。数年前、「お父」が沖縄に行く途中の飛行機の中でその先輩に偶然に出会わせ、機中でずうっと話していたそうです。交通遺児育英会の仕事で、事故で夫を亡くした女性に話を聞きに行く途中だったそうです。 もう一つ、暗い話がありました。親類の男の人が仕事中に足の骨(大腿部というところだそうです)を折り、救急車で病院に運ばれ、手術をしたというのです。親類からの電話のときに、「お父」は「泣きながら頑張れと伝えて」と電話をしてきた奥さんに話していました。 一日も早く仕事に復帰するには、リハビリの辛さを乗り越えて「泣きながら頑張る」必要があるというのです。

 そんな人を知っているからこそ、「お父」は電話で奥さんを励ましたのだと思います。「お父」の話ですと、泣きながらリハビリをした人は、40歳直前に「クモ膜下出血」で倒れ、生死の間をさまよいながら回復しました。そして不自由な体を元に戻すために、泣きながらリハビリを続けたというのです。 今度骨折した親類は、もっと年上で50歳を超えています。

 でも、「お父」の言うように、泣きながら頑張れば、きっとけがをした足は元のように動かすことができると私も信じます。 間もなく2月。「凍てつく季節」です。でも、私や家族には楽しいことが待っています。「お父」にとって「初孫」が生まれるのです。どんな赤ちゃんが生まれるのでしょうか。私は赤ちゃんが生まれても、大丈夫です。ヤキモチなんて焼きません。私も早く赤ちゃんの顔が見たいなあ。(2011・1)

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