小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1234 愛敬あるリャマに敬意 深まるナスカの地上絵の謎

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 南米ペルーの世界遺産「ナスカの地上絵」に関し、新たにラクダ科の「リャマ」を描いた地上絵が見つかったというニュースが流れた。現地にナスカ研究所を開設、調査を続けている山形大学のチームが発見したという。

 3月、セスナに乗ってこの絵を見た一人としてこのニュースには強い興味を抱いた。地上絵が描かれた理由に関しては様々な説があるが定説はない。謎が解明されないからこそ、地上絵に惹かれるのかもしれない。 報道によると、新しく発見された地上絵は17個で、ナスカ市街地から1キロ北の丘の1キロ四方に集中しているという。

 このブログの5枚目の写真の「ハチドリ」が全長100メートルあるのに対し、リャマの絵は最大で15メートル、最少は3メートルというから、上空からだと見えにくいものもあるようだ。発表では制作時期はハチドリよりも古い紀元前400~200年ごろという。(公表された山形大学の報告書を見る限り、リャマとした根拠はよく分からない。報告は冒頭で「リャマと考えられる地上絵」という表現を使っているが、その後からは「リャマ」と断定している)

 手元に最近出版された「ディープな世界遺産」(平川陽一著、大和書房)という本がある。「絶対に行っておきたい」という48の世界遺産(自然、文化)をリストアップし、ナスカについても「荒涼とした土地に描かれた天空へのメッセージ」として4頁を割いている。

 平川は地上絵について「古代人が天文学の知識を巨大な構図にまとめた」(アメリカの歴史学者、ポール・コソック)や「天空の星座を地上に描きとったもの」(コソックの助手のドイツの数学者マリア・ライヒェ)による「天文学説」を紹介した後、「人工衛星から地上絵を観察できるようになると、謎が浮かび上がってきた。巨大滑走路のような矢印形の巨大図形が全長50キロにわたって描かれていた」として、「宇宙船の滑走路説」を取り上げている。

 このほか「かつて地球を訪れ、人類に知恵を伝えた異星人を偲び、彼らに『もう一度、地球に戻ってきてほしい』というメッセージを伝えているという説もある。だとすれば、宇宙からしか全容がつかめない規模の大きさで描かれている点も理解できるのだが……」と記している。この絵をめぐる謎解きへの挑戦はロマンがある。

 それにしても、この世には解明が困難なことがあることをこの遺跡は示しているともいえる。 ペルー・アンデス地方でリャマは珍しくない。運搬用の家畜として昔から利用されていたラクダに似た動物だ。だから、ハチドリやコンドルと並んで地上絵にも採用されたのだろうか。

 マチュピチュ遺跡でもリャマが飼われていて、その姿は愛らしかった。リャマに似ている動物で、その毛がよく知られているのがアルパカだ。この毛で編んだセーターやマフラーは人気が高い。 アルパカはリャマと同様、アンデス地方で飼われている動物だから、仮にリャマと同じくらい大昔からこの地方にいたとすれば、将来、アルパカの地上絵も見つかるかもしれない。

 ナスカにはリャマの絵もある謎もある

 南米の旅―ハチドリ紀行(6) あれがナスカの地上絵?

 写真 1、地上絵に描かれたリャマ(マチュピチュで) 2、古都・クスコで見かけたアルパカ 3、土産物店入口のアルパカの人形 4、山形大発表のリャマの図形 5、地上絵のハチドリ 6、地上絵のコンドル

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