小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

900 多くの秋を見る 奥会津の旅

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 宮城、福島を旅した。同じ震災でも津波の被害が大きかった宮城、事故を起こして収束の見通しが立たない原発を抱えた福島。それぞれに被災の状況、気候、風土は違っても、苦難の環境の中で人々は懸命に生きている。

 哲学者の梅原猛は「日本の深層」という本の中で、東北の人たちの気性について「東北人のあの沈黙と、羞恥と、そして誇り、それはおそらく東北人の心の中にひそんでいる、過去の高い文化(2000年前には日本最高の文化が東北にあったという)の無意識なる記憶が原因なのであろうか」と書いている。

 被災地の石巻を訪問したあと、奥会津に行った。JRから第3セクターの南会津鉄道に乗り換えて、会津田島に向かった。用事を済まして、さらに栃木県へと移動する窓外には錦秋の世界が広がっていた。

 かつて詩人の伊東静雄は「わがひとに与ふる哀歌」という詩集でこんな詩を書いた。 「深い山林に退いて 多くの旧い秋らに交わってゐる 今年の秋を 見分けるのに骨が折れる 」

 窓外に展開する奥会津の光景は、まさにこの詩を彷彿とさせるものだった。 会津田島から豪雪地帯の昭和村に行くと、廃校の周囲に葉がかなり落ちた銀杏の大木があった。この廃校を舞台につい先日、坪川拓史監督が「ハーメルン」(坂本長利、倍賞千恵子西島秀俊らが出演し、来年公開予定)という映画を撮影したという。日本の廃校の中で一番風情があるのだという。

 写真は会津若松の神社にある銀杏、そして昭和村の銀杏、窓外の秋の風景、さらに宮城県のたわわに実った柿の姿、野口英世の写真が入った会津鉄道の列車、駅舎などだ。

 

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