小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

551 いまどき「つかみガネ」なんて 官房機密費問題

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 最近は腹をたてないように注意をしている。健康に悪いからだ。でも、つい「機密費」のニュースを見て、腹を立ててしまった。 日本政府には「つかみ金」という慣習がいまもあることを、多くの国民が知った。麻生政権末期に2億5千万円もの官房機密費の駆け込み請求という実態がそれを明確に裏付けた。

 この厳しい時代に「ふざけるな」と言いたい。これを機会に、こんな悪習は撤廃すべきではないかと思う。この予算も税金からの支出なのである。 官房機密費は「内閣官房が国政上の機密の用途で支出する費用のこと」とある。それを実際に使う責任者は官房長官だ。官房報償費という正式名称の通り、時の権力を維持するために、さまざまな方面に使うらしく「潤滑油」的な存在なのだそうだ。

 だが、その使い道は全く明らかにされていないし、会計検査院の調査対象からはずれている。与野党含めた国会議員の海外視察の餞別とか、国会対策などに使われるという風聞があるが、実態は全く不明だ。年間で14億円超の予算を取っているのに、その支出の明細を明らかにする必要がないというのは、とても理解できない。これでは日本は法事国家といえるのかと思う。

 2億5千万円問題では、現在の平野官房長官は「私は知らない。前の河村さんに聞いてほしい」と言い、河村前長官は「(官房長官をやめてしまったので)話す立場にはない」とシラを切っている。自民党が惨敗した衆院選の後払いという声もある。一国民の立場としては全額を国庫に返すべきだと思う。 政権をとった民主党は、自民・公明政権時代の政策の見直しを進めている。

 しかし、なぜかこの問題に関しては歯切れが悪い。「自由に使える金がほしい」ということなのだろうか。そうだとしたら、考え違いをしている。国民のために行う政治なのだから、国民が納得する必要な経費は正々堂々、予算を要求し、その支出の明細を隠さず明らかにしたらいい。政治も透明性とは何かを再確認すべきときだと思うのだが、「カネ」の問題にまみれる政治家(政治屋)には、無理なことなのか。

 いまどき「つかみ金」なんて制度は、民間会社にもないし、先進国でも聞かない。鳩山首相は「旧態依然たるこの制度は即刻撤廃する」と決断すべきだと思うのだが、どうだろうか。(写真はことし訪れた大分市。美しいバラの家。政治もこのように、透明感あふれる存在であってほしい)