小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

550 介助犬の受難 JRの無知に思う

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 公共交通機関の代表ともいえるJRは、国鉄時代から徹底した合理化が進み、ラッシュ時でもホームには駅員の姿はほとんど見かけない。 自殺多発時代、ホームから電車に飛び込む人が後を絶たない。その結果、JRのダイヤはよく乱れる。JR(東日本)鎌取駅千葉市)の職員が新幹線のチケットを求めた障害者に対し介助犬の同伴を一時断ったというニュースが流れた。さもありなんと思った。

 毎日新聞の報道によると、千葉県市原市介助犬と暮らす男性(48)の妻が10月20日、鎌取駅で名古屋までの新幹線の乗車券を買う際、介助犬の同伴を伝えたところ、窓口 職員が「JR東海盲導犬のみ同伴を許可し介助犬は認めていない。他の交通機関を利用してほしい」と拒否したため男性が法律で義務付けられていると電話で説明し、職員もようやく誤りを認めたというものだ。

 身体障害者補助犬法(2002年施行)によると、すべての施設や交通機関介助犬盲導犬の受け入れが義務付けられている。 無知で済む問題ではない。生半可な知識を振り回す前にどう対応すべきか、他の職員や駅長に相談すべきだと思う。JRは窓口の職員がトラブルに遭遇した際でも、一人で判断して解決することになっているのだろうか。 最近のJRは駅員の「顔の見えない」駅が多い。ホームに制服姿の駅員がいた時代は遠い昔になっている。

 それでいて、金稼ぎのために全車両をPR用に塗り替えすることも厭わない。最近では、明治チョコレートのチョコレート色に塗り替えられた山手線の車両が目に浮かぶ。 知人によると、問題を起こした鎌取駅は新しい住宅が次々に建ちし、利用者は増加の一途をたどっている。それでいて改札口も少なく、朝夕には乗降客が長い列をつくる。電車の本数も少ないからいつも電車は満員で、この駅の乗客はラッシュ時に電車に乗り込むのに一苦労するという。

「改札口も、電車の本数も増やしてほしい」という自治会連合会の要望にJRは応じようとしないというから、駅職員も板ばさみになってストレスがたまっているのかもしれない。 このトラブルの背景を考えると、腹立たしいことが多い。大体、優先席に若い人が座り、電源を切るべきはずの携帯を堂々と使っている姿が日常化している。車掌が車内を回ることがないから、アナウンスの効果は全くない。乗客のマナーは最悪だし効率化優先の鉄道会社の姿勢もおかしい。そんな時代の一端が、介助犬の問題なのだろうか。 (写真と記事は無関係です)