小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

音楽

1243 ひっそりと咲く夏アザミ 春から秋までの路傍の花

散歩コースの調整池の周囲にアザミの花が咲いている。アザミは漢字で「薊」と書く。俳句の季語は春である。立夏はとうに過ぎているが、キク科の植物であるあざみは種類が多く、春から秋にかけて花が咲き続けるという。このうち夏に咲くアザミ を「夏薊」とい…

1207 最後に輝きが ソチ五輪閉幕・歴史に残る羽生、葛西、浅田3選手

ソチ五輪が閉幕する。ソチと日本の時差は5時間だが、現地時間午後10時に決勝が始まる競技もあり、多くの人が寝不足になったのではないか。欧米のテレビのゴールデンタイムに合わせるため遅い時間に競技のスタートを組んだというから、五輪の商業主義が進…

1205 もう一人のレジェンド いまも現役・長野五輪のテストジャンパー

ソチ五輪の男子ジャンプ、個人ラージヒルで41歳の葛西紀明選手が銀メダルに輝いた。この年齢でスキーの第一線を続け、しかも世界のトップの位置を占めているのは驚異としか言いようがない。だれが名付けたのかは知らないが「レジェンド=伝説」という言葉…

1200 真贋入り混じった現代社会 別人が作曲した希望のシンフォニー

芸術作品の真贋問題でよく知られているのは古陶器の永仁の壺事件(1960年)だ。鎌倉時代の古瀬戸の傑作として国の重要文化財に指定された永仁二年の銘があった瓶子(へいし・壺の一種)が、実は陶芸家加藤唐九郎の現代作であることが発覚し、大騒動にな…

1200 真贋入り混じった現代社会 別人が作曲した希望のシンフォニー

芸術作品の真贋問題でよく知られているのは古陶器の永仁の壺事件(1960年)だ。鎌倉時代の古瀬戸の傑作として国の重要文化財に指定された永仁二年の銘があった瓶子(へいし・壺の一種)が、実は陶芸家加藤唐九郎の現代作であることが発覚し、大騒動にな…

1199 風が頬を打つ立春の朝 福島の悲惨な現実

「春は名のみの風の寒さや…」という歌い出しの「早春賦」(吉丸一昌作詞、中田章作曲)を思い浮かべるような、立春の朝である。昨日とは一転して、天気は冬に戻ってしまった。 ソプラノ歌手・鮫島有美子の「四季」のCDには79曲の最初にこの曲が入ってい…

1139 hana物語 あるゴールデンレトリーバー11年の生涯(5)一度だけの失敗

このブログを書いている私の部屋では、CDから静かな曲が流れている。ヨーゼフ・ハイドンの交響曲44番≪悲しみ≫(哀悼)だ。ハイドン自身が気に入っていた曲で、葬式には演奏してほしいと希望し、1809年にベルリンで行われた追悼際では第3楽章・アダ…

1124 望郷の思いで聞く名曲 友人のシャンソンコンサートにて

美しい故郷をすてて若者は都会に出ていく。そして長い年月が過ぎる。でも故郷の山はいまも美しい……。シャンソン「ふるさとの山」はこんな曲だ。6月29日夜、東京・神楽坂のライブホール・The GLEEで開かれた友人のシャンソン歌手・斉藤信之さんのコンサー…

1124 望郷の思いで聞く名曲 友人のシャンソンコンサートにて

「青く澄んだ山にかこまれたふるさと その土地をすてて 永いこと夢みていた 都会のくらしに 彼らはでていく…(略)今も山は美しい 春は花が咲き乱れ空に小鳥さえずる ふるさとの山は」(ジャン・フェラ作詞作曲、古賀力訳)。6月29日夜、東京・神楽坂のラ…

1105 ミニコンポの修理で知った現実 使い捨て時代を実感

ある国内メーカーのミニコンポを使っている。2006年8月に購入したもので、使い出して間もなく7年なる。最近、CDを入れても音が出なくなったので修理を頼んだ。 すると、やってきたメーカーの担当者は、「読み取り装置が壊れたので、交換する必要があ…

1073 「正義と良心・生き方とは」を考える ミュージカル映画「レ・ミゼラブル」

ミュージカル映画はほとんど見ない。それでも「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)や「王様と私」(1956)など、何本かの映画は心に焼き付いている。 この正月、退屈するだろうと思いながら、トム・フーバー監督の英国映画「レ・ミゼラブル」を…

1029 オリオン舞い立つ 流れ星を見た夜

日曜(10月21日)の午後10時過ぎ、夜空を見上げた。オリオン座流星群の流れ星を見ることができるかもしれないというニュースがあり、家族みんなで外へ出た。10月も下旬に入ったとはいえ、まだそう寒くはない。40分ほど頑張って1つの流れ星を見た…

980 いのちの重さを思う時間 3冊の本・がんと闘う友人・マーラーの5番

この数日は、密度の濃い時間を送った。毛色の変わった3冊の本を読み、がんと闘う友人と話をし、東日本大震災の被災地にも出かけた。友人は、奇跡的にがんを克服しつつある。それは人間の生命力の強さを感じさせ、大震災以来、暗く沈んでいた心に一筋の光明…

967 みかんの花の季節に 名曲から伝わる自然と人生

いつもの年ならいまごろは庭のみかんの花が満開となり、甘い香りが周囲に漂っている。ことしは桜の開花が例年より1週間以上遅れ、当然のようにみかんの花のつぼみも開かない。 「みかんの花咲く丘」(加藤省吾作詞、海沼実作曲)という戦後の日本を代表する…

892 心に沁みる「IF WE HOLD ON TOGETHER」 何気なく聴いたCDの一曲

アメリカの黒人女性歌手、ダイアナ・ロスのCDを何気なくかけ、何気なく聴いた。全部で13曲が入っているCDの12曲目に一番好きな歌があった。 「IF WE HOLD ON TOGETHER 」(ウィル・ジェンキンス作詞、ジェームズ・ホーナ作曲)だ…

892 心に沁みる「IF WE HOLD ON TOGETHER」 何気なく聴いたCDの一曲

アメリカの黒人女性歌手、ダイアナ・ロスのCDを何気なくかけ、何気なく聴いた。全部で13曲が入っているCDの12曲目に一番好きな歌があった。「IF WE HOLD ON TOGETHER 」(ウィル・ジェンキンス作詞、ジェームズ・ホーナ作曲)だ。…

863 音楽とともに歩んだ記者人生 アマチュアオーケストラは楽しい・松舘忠樹著

音楽の楽しみ方は人それぞれだと思う。この本(仙台市・笹気出版)の著者である松舘さんは、社会部記者を中心に長い間、報道機関のNHKで忙しい生活を送った。そんな生活の中でも松舘さんはヴァイオリニストとしてのもう一つの顔を持ち、クラシック音楽を…

863 音楽とともに歩んだ記者人生 アマチュアオーケストラは楽しい・松舘忠樹著

音楽の楽しみ方は人それぞれだと思う。この本(仙台市・笹気出版)の著者である松舘さんは、社会部記者を中心に長い間、報道機関のNHKで忙しい生活を送った。そんな生活の中でも松舘さんはヴァイオリニストとしてのもう一つの顔を持ち、クラシック音楽を…

851 甲子園に響いた日大三高の校歌 作詞者山本正夫の孫の思いは

夏の甲子園・高校野球全国大会で、東京代表の日大三高が青森代表の光星学院を11―〇でくだして優勝した。「見よや 麗わしの誠の光昇る旭日に ほのぼのと・・・」という(小林大次郎作詞、山本正夫作曲)日大三高の校歌をテレビで聞いた。 負けた光星の選手…

844 心に響く「歌」と「絵」 やすらぎをもたらす2つの美

ことしは本当にため息を吐いた。それは私だけではないはずだ。多くの日本人が行く末を不安に思い、東日本大震災で避難生活を余儀なくされている人たちのニュースに接し、体に悪いため息を吐いている。それは、まだ当分続くだろう。 そうした悩める魂を救うの…

820 美しい故郷を思う歌 吉丸一昌の詞の心

ソプラノ歌手の鮫島有美子が歌った「四季」というCDがある。春夏秋冬それぞれ1枚に季節の歌20曲ずつが入っている。春のディスクには「故郷を離るる歌」というドイツ民謡があり、格調高い吉丸一昌の詞が付いている。それは「園の小百合」で始まり、「さ…

799 FMから聞こえる澄明な音楽 忘れていたラジオ

ふだんラジオは聞かないが、東日本大震災以来枕元にはラジオが置いてある。東京電力が計画停電するというので、ラジオが大事だと思ったからだ。電池もあまり減っていないのか問題なく聞こえる。 震災から間もなく1カ月。FM放送にダイヤルを合わせると、モ…

738 青い空に似合う皇帝ダリア うれしいピアノ・萩原さんの優勝

ことし初めて植えた皇帝ダリアの花が咲き始めた。本当に「背高のっぽ」の植物だ。 庭の花はほとんどなくなり、これから冬を越すパンジーやビオラがホームセンターに並んでいる。そんな季節、皇帝ダリアの存在は目立つ。青い空に向かって、思い切り背を伸ばし…

690 「古里」を行く 夏の思い出

古里・故郷の意味は、3つある。広辞苑の解釈だ。その1、古くなって荒れ果てた土地。その2、自分が生まれた土地。郷里。その3、かつて住んだことがある土地。またなじみ深い土地―だという。 その「古里」(ふるさと)という名前のついた駅があることを最…

685 夭折した2人の心 琵琶湖周航の歌

「ひつじぐさ」(未草)が何であるかを知っている人はそう多くはないと思う。辞書で引くと、睡蓮のことで、スイレン科の水生の多年草で池沼に生えると出ている。そうクロード・モネの絵で有名なあの睡蓮なのだ。 未の刻(午後2時ごろ)に開花するというので…

657 ムクドリ追い出し作戦 駅周辺の大音響・結果は?

私が利用しているJRの駅周辺で、先月末ものすごい音響がスピーカーを通じて流された。電柱には「ムクドリ対策中」という張り紙があり、この周辺に集まるムクドリの大群を追い払おうという作戦だと分かった。 この音による作戦と並行して、3日間にわたって…

631 壊れたCDプレーヤー ものづくりへの哲学

最近CDプレーヤーの調子がおかしくなった。まだ購入して3年半しかたっていないのに、CDによって音が飛んだり、全く音が出なくなったりする。中にはごくまれに普通に音が出るものもある。 CDプレーヤーは小さなレンズからレーザー光をあてて情報を読み…

631 壊れたCDプレーヤー ものづくりへの哲学

最近CDプレーヤーの調子がおかしくなった。まだ購入して3年半しかたっていないのに、CDによって音が飛んだり、全く音が出なくなったりする。中にはごくまれに普通に音が出るものもある。 CDプレーヤーは小さなレンズからレーザー光をあてて情報を読み…

615 聞かれなかった日大三高の校歌  山本正夫の名曲

春の選抜高校野球は、沖縄の興南が東京の日大三高を延長戦の末、10―5で破り、初優勝した。 興南の島袋と日大三の山崎の両エースとも疲れていたに違いない。しかし、それを感じさせない投球は、素晴らしかった。本音で言うと今回は山崎君の日大三を勝たせ…

613 復活した校歌の物語(4)完 山本正夫の孫と感動の対面

山本正夫 校歌のなぞを探って、作詩・作曲者の山本正夫の直系の孫である山本晴美さんが東京都板橋区で幼稚園の園長をしていることを知った、東舘小の宍戸校長と矢祭町教育委員会の片野委員長は福島県から上京し3月31日、晴美さんを訪ねた。(多くの校歌を…