小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

自然

1818 地球温暖化に背を向ける大人への警鐘 グレタさんの訴え

16歳の少女の訴えを全世界の大人はどう受け止めたのだろうか。23日にニューヨークの国連本部で開かれた気候行動サミット。一番注目を集めたのは16歳の少女、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんの大人への怒りを込めたスピーチだった。地…

1815 米大統領とオオカミ少年 ハリケーン進路騒動

古代ギリシア(紀元前6世紀ごろ)の寓話作家イソップ(アイソーポス)の『イソップ寓話集』は、様々な事象を寓話(教訓や風刺を含めたたとえ話)にしたものだ。その中にある「オオカミ少年」(あるいは「嘘をつく子ども」)の話は、よく知られている。朝刊…

1812 炎暑地獄の9月 台風去って難が来る

9日未明に千葉市に上陸した台風15号は、最大瞬間風速57・5メートルを記録し、同じ千葉市に住む私は眠れぬ夜を明かした。台風のすごさはテレビの映像で知ってはいたが、それを目のあたりにした。あちこちで街路樹が倒れ、屋根のテレビのアンテナが横倒…

1811 ツバメ去り葛の花咲く 雲流れ行く季節に

朝、調整池の周囲にある遊歩道を散歩していたら、多くのツバメが飛び回っていた。そういえば、七十二候の四十五候「玄鳥去(つばめさる)」は間もなく(18日)だ。ツバメは南へと帰る日のために、ことし生まれた子ツバメを訓練しているのだろうか。残暑が続く…

1806 ハチドリの助けを呼ぶ声 アマゾンの森林火災広がる

南米ブラジルでアマゾンの熱帯雨林が燃え続けているという。森林火災により今年だけでも鹿児島、宮崎を除く九州と同じ面積(1万8629平方キロ)が焼けてしまい、熱帯雨林が危機になっている。アマゾン地域には「ハチドリのひとしずく」という言い伝えが…

1803 涼を呼ぶ寒蝉鳴く 猛暑の中、秋を想う

猛暑が続いている。暦の上では立秋(8月8日)が過ぎ、きょう13日は七十二候の「 寒蝉鳴」(かんせんなく)に当たり、盆入りである。寒蝉は「かんぜみ・かんせん」と読み、秋に鳴くセミであるヒグラシやツクツクボウシのことをいう。散歩コースの調整池の…

1795 前倒し夏休みなのに 梅雨寒続く7月

梅雨寒や背中合わせの駅の椅子 村上喜代子 梅雨寒の気候が続いている。昨年の今頃は猛暑になっていたが、今夏は天候不順で肌寒い日がなかなか終わらない。私の住む千葉市の市立小中校(165校)は、例年より1週間繰り上げて夏休みになる。3連休だから、…

1786 雨の季節に咲く蛍袋 路傍の花を見つめて

散歩道で高齢の女性2人が話している。 「あら、ホタルブクロがそこに咲いているわよ」 「そうね。懐かしいわ。私の子どものころ、この花を『あめっぷりばな』、って言ってたのよ」 「そうなの。面白い名前ね。私の学校帰りの道の両脇にもあって、これが咲く…

1779 桑の実は名物そばよりうまい  自然の活力感じる季節

自然を愛好する人にとって、忙しく楽しい季節である。山歩きが趣味の山形の友人からは珍しいタケノコ「ネマガリダケ(月山筍)」が送られてきて、彼の山歩き姿を思い浮かべながら、旬の味を堪能した。自然の活力を最も感じる季節、病と闘いながら旺盛な食欲…

1768 東京も千葉も福島も桜の季節 「人はいかに生きるべきか」

かつては「桜前線が北上」という言葉が一般的だった。だが昨今、この言葉はあまり使われなくなった。異常気象といわれた世界の気象がいまや恒常化してしまい、東京と福岡の桜の開花日が同じになっている。自然界も異常を普通にしてしまう「トランプ現象」と…

1765 春眠暁を覚える? 雉を見に行く

「雉が増えすぎて困るから、野良猫がいた方がいいって言ってる人がいる」「それはおかしいよね」ラジオ体操仲間が、こんなことを話していた。その場所は私の散歩コースに当たり、なるほどこの数年、よく雉を見かける。それにしても「増えすぎる」とはどうい…

1759 桜の季節そこまで 四季の美しさ見つめて

シンガポールから東京にやってきた19歳の留学生が「初めて四季の美しさに目覚めた」ということを書いた新聞の投書を読んだ。「日本は四季がはっきりしていて、自然が美しい」といわれる。しかし、そうした環境に身を置くと、ついそれが普通と思ってしまい…

1752『メロディに咲いた花たち』 人々に愛される四季の花と歌の本

花をテーマにした歌は少なくない。四季折々の花を歌ったメロディは心を和ませてくれる。そうした花の歌を集めた『メロディに咲いた花たち』(三和書籍)という本が、このほど出版された。この本には歌の紹介に合わせてさまざまな花の写真も掲載されている。…

1734 生きている化石の木が紅葉 街路樹の新興勢力・メタセコイア

手元に『巨樹』(八木下博著・講談社現代新書)という本がある。日本各地に存在するイチョウ、ケヤキ、カツラ、マツ、スギ、クスノキ、トチ、サクラなどの大木を紹介したものだ。この中に高さが25メートル~30メートルのメタセコイア(和名、アケボノス…

1725 けやきの遊歩道無残 紅葉奪った塩害

街路樹のけやきの葉の色がことしはおかしい。例年なら赤や黄、茶の3色に紅葉して美しい秋を演出するのだが、ことしに限って美しさが失われてしまった。よく観察してみるとほとんどの葉が褐色(こげ茶色)になっている。文字通り枯れ葉といった印象なのだ。…

1718 花野を見ながら 今は風物詩のセイタカアワダチソウ

6時前に調整池周りの遊歩道を歩いていると、黄色い花野(花畑)が目の前に広がっていた。この季節の風物詩ともなった帰化植物のセイタカアワダチソウが満開を迎えたのだ。朝日俳壇に「逝きし子と手をつなぎゆく花野かな」(尼崎市・ほりもとちか)という句…

1715 くろがねの秋の風鈴 瀟殺(しょうさつ)とした音色を聞く

作家の故藤沢周平は、人口に膾炙(かいしゃ)する=世の人々の評判になって知れ渡ること=俳句の一つとして飯田蛇笏(1885~1962)の句を挙げている。「くろがねの秋の風鈴鳴りにけり」である。 夏が終わり、秋になっても軒に吊るしたままの鉄の風鈴…

1710 荒々しさ増す地球の気象 『空白の天気図』再読

台風24号が去った。きょうから10月。とはいうものの、手元の温度計は30度を超えている。25号も発生したというから、ことしは台風の当たり年といえる。昭和以降の被害が甚大だった台風を「3大台風」と呼んでいるという。室戸台風(1934年9月2…

1708 不思議なキンモクセイの香り 郷愁を呼ぶ季節

ことしも庭のキンモクセイの花が咲き始めた。花よりも、独特の香りで開花を知った人は多いのではないか。実は私もそうだった。植物の花はさまざまな香り(におい)がある。その香りは虫を呼び、受粉を助けてもらう働きがあるのだが、キンモクセイの花には虫…

1705 秋の気配そこまで 野草と月とそばの季節に

9月も半ば。これまで味わったことがないような猛暑、酷暑の夏が過ぎて、秋の気配が漂ってきた。コオロギの鳴き声も次第大きくなり、エアコンに頼らず、自然の風の中で生活ができるのはとてもうれしい。そんな一夕、正岡子規が好きな人たちが集まって開いて…

1702 繰り返す自然災害 想定外からブラックアウトへ

「予(われ)、ものの心を知れりしより、四十(よそじ)あまりの春秋(しゅんじう・しゅんしう)をおくれる間に、世の不思議を見ること、ややたびたびなりぬ(「私は物事の分別がつくようになったころから、40余年の歳月を送ってきた。その間に常識ではあ…

1700 初秋の風物詩 マロニエの実落下が続く遊歩道

私の家の前は遊歩道になっていて、街路樹としてのけやきの大木がある。そのけやき通りを東に歩いていくと、街路樹は数本のクスノキとなり、さらにその次にはマロニエ(セイヨウトチノキ)が植えられている。9月になった。マロニエの実が次々に落ちてきて、…

1686 夕焼けの中で 郷愁誘う自然の芸術

私は夕焼けを見るのが好きだ。なぜ? 大空に展開する自然の芸術に陶酔する時間がたまらないのかもしれない。昨日の夕、久しぶりにこの風景に出会った。猛暑続きの日々、夕焼けは翌日の好天の予兆だそうだ。その通り、きょうも朝から暑い。 昨夕、エアコンが…

1685 害虫と益虫をめぐる勘違い 「こがねむし」の歌私見

毎年、いまごろの暑い時期になると、庭のナツツバキ(シャラノキ)に昆虫がやってきて葉を食い荒らす。体長2・5センチほどの昆虫だ。背中は緑色に光っている。私はこの昆虫をカナブンだと思い込み、家族に「またカナブンが来ている」と話した。だが、調べ…

1683「酷暑」の夏 涼を求めて

新聞に「酷暑」の見出しが躍っている。外からはやかましいクマゼミ(熊蝉)の鳴き声が聞こえる。きょうも暑くなりそうだと思いながら、部屋の温度計を見ると、午前8時を少し回ったばかりなのに、既に30度を超えている。つい「暑い!」と口走ってしまう。…

1682 夢二の逆転の発想 「宵待草」の花が咲く

今夏も近所の調整池を周る遊歩道に、月見草の花が咲いた。早朝の散歩で黄色い、可憐な印象の花を見た。この花の正式名称はアカバナ科のマツヨイグサで、南米チリ原産の帰化植物だそうだ。江戸時代に渡来し、野生化したものだが、太宰治の『富嶽百景』という…

1652 坂の街首里にて(2) 自然の力・アカギの大木を見る

前回のブログに書いた通り、首里地区は太平洋戦争の沖縄戦で米軍の激しい攻撃に遭い、がれきと化した。首里城周辺にあったアカギという樹木も例外でなかった。しかし、現在、内金城嶽(うちかなぐすくうたき)境内には6本の大木が残っている。戦火を免れた…

1647 公園に復活したキンラン 植物は天然の賜

近所の公園でキンランの花が咲いているのを見た。かつてはそう珍しくない山野草だったという。90年代ごろから減少し、地域によっては絶滅危惧種にも指定されているが、最近は少しずつ復活しているようだ。 キンランはラン科の多年草だ。久保田修著『散歩で出…

1646 木たちの対話 新緑を競いながら

小さな庭の中心にキンモクセイの木がある。この家に住んでことしで30年。この木も同じ時代を歩んだ。庭の外には遊歩道があり、多くの人が散歩を楽しんでいる。そこには大木になったけやき並木がある。新緑の季節。キンモクセイとけやきの若葉は、競うように…

1640 ヤマザクラに登った少年時代 被災地も桜の季節

満開の花のことばは風が言ふ 俳誌「沖」の編集長だった林翔の句である。 この句からは、満開になった桜の花が風に吹かれてざわめいている光景を思い浮かべることができる。4月になった。部屋のカレンダーをめくったら奈良・吉野山の風景が広がっている。吉…